EU閣僚理事会 ロシア中央銀行資産を期限なし凍結、ウクライナ支援を担保化

EU、ロシア中銀資産2100億ユーロを期限なし凍結 支援融資の前提固め

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EUの閣僚理事会は2025年12月12日、域内で動かせない状態にあるロシア中央銀行の資産約2100億ユーロ(約38兆円)について、事実上の「期限なし」凍結を続ける枠組みに切り替えた。6か月ごとの更新手続きに頼らない形へ改め、凍結資産を担保にしたウクライナ支援融資の前提を固めた。

「更新のたびに止まる」不安を外すための制度設計

これまで凍結の維持は、対ロ制裁の更新を定期的に積み上げる運用に支えられてきた。だが延長には加盟国の政治判断が絡みやすく、少数の反対でも将来の継続が揺らぐ余地が残っていた。今回の決定は、その不確実性を資金面のリスクとして先回りして外した。

理屈は「経済上の緊急事態」に対処するEU条約の条項を使い、資産をロシア側へ戻す移転を禁じる規則を整えるというものだ。合意が維持される限り、資産は解放されない。解除の条件は、ロシアの行動がEU経済に重大な困難をもたらす恐れがなくなり、かつウクライナへの補償が担保されることに置かれた。

背景には、親ロシア的とされる政権を抱えるハンガリーやスロバキアが、更新局面でカードを握り得るとの懸念があった。実務を金融機関と市場に戻すには、政治の「その時々の気分」で凍結がほどけると思われない仕組みが必要だったというわけだ。

担保にするほど、法的コストも濃くなる

狙いはウクライナ向けの大型融資を回しやすくすることだ。EU首脳は12月18日の会合で資金手当てを議論する見通しで、凍結資産を「将来の賠償の前払い」に近い形で扱う案が浮上してきた。財政支援は戦時の歳出だけでなく、行政や社会インフラの維持にも直結する。

一方で、資産の多くを抱えるベルギーの決済機関Euroclearには、ロシア側の反発が集中している。AP通信などによればロシア中央銀行は提訴に踏み切り、欧州側では報復や訴訟リスクの負担がどこに偏るかが新たな論点になった。凍結は「守り」の措置に見えても、担保として使うほど、法と政治の綱引きは前面に出てくる。

参考・出典

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