フランス大統領マクロン、来夏から18〜19歳に10カ月志願制軍務導入

「危機の時代」に備える仏の新制度 防衛と社会参加をどう両立させるか

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フランスのマクロン大統領は11月27日、18〜19歳を対象とする新たな志願制の軍事サービスを来夏から導入すると表明した。任期は10カ月で国内と海外領土の防衛任務に就き、終了後は予備役として市民生活に戻るか、職業軍人として残るかを選ぶ。ロシアの脅威など「加速する危機」に備える狙いだが、その負担と役割分担を若者と社会がどう引き受けるのかが焦点になりつつある。

18・19歳に開かれる「10カ月の制服生活」

新制度では、志願した若者は軍の訓練を受けたのち、約10カ月にわたり陸海空軍などの部隊で活動する。任務はフランス本土と海外領土に限られ、対テロ警戒のパトロールや災害時の支援など、既存の兵士と肩を並べて実務を担う。海外での戦闘には送られないと、マクロン氏は演説で改めて強調した。

任期を終えた若者は、予備役として市民生活に戻りながら定期的な訓練を続けるか、そのまま正規軍への道を選ぶかを決めるしくみだ。フランス政府は、大学進学や就職と並ぶ「第三の進路」として位置づけ、給与や宿舎の提供も打ち出している。学費や家賃に悩む世代にとっては新たな選択肢となる一方、軍事力強化のために経済的不安をてこにしているのではないかという懸念も出ている。

既に予備役制度を持つ国と同様に、平時から若者が制服を着て街頭に立つ光景が日常になれば、市民の安全意識も変わるだろう。フランス国内では、地方の雇用や教育機会の格差が緩和されるとの期待と、若者の時間が国家優先で切り取られることへの戸惑いが交錯している。生活設計の一部を「公共の安全」にあてることをどこまで当然視できるのかが、社会全体に突きつけられている。

マクロン政権が描く安全保障と社会統合

背景には、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、米国の関与にも不確実性が増すなかで、欧州が自前の抑止力を高めようとしている事情がある。マクロン政権は、徴兵制を事実上やめた1990年代以降に細った予備役を拡充し、「有事に即応できる国」をつくる狙いを公言している。軍事組織だけでなく、市民社会も段階的に動員できる体制を整えることが目標だ。

新制度は初年度に約3000人から始め、将来的には最大5万人規模まで段階的に広げる構想とされる。マクロン氏は、これは徴兵制の復活ではなく、常備軍・予備役・志願兵を組み合わせた「ハイブリッド型」の防衛体制だと説明し、国家総動員が必要となる例外的な危機時のみ義務化を検討すると線引きを示した。若者の主体的な参加を前提にしつつ、「いざという時」に備える二重のメッセージが込められている。

一方で、防衛予算をさらに膨らませる計画には、社会保障や教育投資を優先すべきだとする左派政党や市民団体の批判も根強い。右派や軍関係者の多くは制度を歓迎しつつ、若い志願兵を育成する負担が現場部隊に重くのしかからないかを懸念している。安全保障と福祉のどこに国費を振り向けるのかという古くて新しい論争が、軍事サービスというかたちで再燃している。

欧州に広がる「準備の時代」と日本への含意

フランスだけでなく、ドイツが徴兵制の復活を公に議論し、デンマークやノルウェー、バルト三国なども若者の軍事訓練を拡大している。いずれも共通するのは、米国依存に頼らず欧州自らが防衛力を引き受けるべきだという認識だ。マクロン氏の構想は、その流れの中で「志願制を軸にした総動員の準備」と位置づけられ、若者を社会統合の要として再配置しようとする試みでもある。

今回の制度はあくまで任意とされるが、重大な危機に際しては議会の決定で義務化もあり得ると各紙は伝えている。平時には就学や就労と両立できる柔らかな仕組みであっても、有事には若者の時間と身体を国家がどこまで拘束しうるのかという、より重い問いが背後にある。世代間で受け止め方が分かれているのもこの点であり、「自由な若者」と「備える国家」の間の線引きが問われている。

同じく徴兵制を持たない日本でも、防衛力強化や予備自衛官の活用をめぐる議論が続く。遠い国の制度変更に見えても、「安全保障の穴」を埋めるために若い世代の人生の一部を差し出してもらうのか、それとも技術革新や外交で負担を分散するのかという選択は共通している。フランスの志願兵制度は、軍事面だけでなく、誰がどのくらいの時間とリスクを引き受ける社会にするのかという、長期的な問いを静かに投げかけている。

参考・出典

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