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フランス海軍が10月1日、西部サンナゼール沖で石油タンカーを臨検し、船長を名乗る乗組員ら2人を拘束した。9月下旬にデンマーク上空で相次いだ不審ドローンの飛来と、同船の航路が重なる時期があると指摘され、対ロ制裁を避けて原油を運ぶ「影の船団」への視線が急速に厳しくなっている。海と空がつながる新手の攪乱に、欧州の対応が試されている。
仏海軍、サンナゼール沖で臨検
灰色の海面に投錨したタンカーの甲板を、目出し帽の兵士が巡回する光景が上空から確認されたという。現時点で確認されている範囲では、臨検はサンナゼール沖で行われ、軍要員が乗り込み、船内の権限者とされる人物らの所在と船の管理実態をただしたとみられる。周辺海域には仏軍艦が張り付く場面もあったと伝わる。
仏検察は10月1日、乗組員が船籍を証明できず、当局の指示にも従わなかったとして捜査を開始した。拘束されたのは船長を名乗る人物とその補佐役とされる2人で、事情聴取が進む。現時点で押収物や通信履歴の詳細は公表されておらず、臨検の法的根拠や関与の疑いの中身は、今後の発表待ちという段階にある。
タンカーは9月20日にロシアのプリモルスクを出港し、インド西部ヴァディナール行きとされていた。複数のドローンがデンマーク上空を飛行した9月22日前後、同船がデンマーク沖を通過していたとの報もある。一部報道によれば、9月27日にも仏海軍が立ち入り検査を実施し、その後は仏西部沖にとどまって動きを注視されていると映る。
影の船団と変転する船名
ベナン船籍「ボラカイ」号とも、以前の名である「プシュパ」号とも伝えられるこのタンカーは、所有実態や保険の透明性が乏しいとされる「影の船団」の一隻とみられる。欧米の対ロ制裁を回避して原油を第三国へ運ぶ手段として、船名や船籍の頻繁な変更が常套化している実情が浮かぶ。
同船は過去にエストニア当局から有効な旗国登録の確認がとれないとして拿捕・確認を受けた経緯があると報じられてきた。欧州連合と英国の制裁リストにも名があるとされ、素性の不明瞭さが繰り返し問題化してきた。制裁の網を潜る古参タンカーの群れは数百隻規模とも指摘され、実態解明は容易ではない。
船名や登録、所有の履歴が錯綜するほど、管轄権の及ぶ範囲や保険・検査体制は薄くなる。今回の臨検は、海上輸送の透明性をどう回復するかという欧州の執行力そのものを測る試金石になる。誰に有利な仕組みなのか、偶然の行き違いなのか必然の抜け道なのか──問いは海風とともに広がっている。
デンマークのドローン騒動と欧州の反応
デンマークでは9月22日と24日、首都圏やユトランド半島北部の空港でドローン目撃が相次ぎ、一時的な運航停止や空域制限が生じた。発進元は特定されていないが、海上の大型船からカタパルトで射出された可能性が取り沙汰される。現時点で確証はなく、捜査当局は関与主体の特定に慎重な姿勢を崩していない。
ロシア側はドローンへの関与を否定している。他方で欧州連合の首脳陣は10月1日にコペンハーゲンで集まり、域内の対ドローン防御を強化する「ドローンの壁」構想に言及した。各国から対ドローン装備や要員がデンマークへ派遣され、国内の民間ドローン運用は一時的に広く制限されるなど、警戒態勢が続いている。
仏当局は今回の臨検で押さえた通信や航跡、搭載機材の有無を精査し、デンマーク上空の事案との接点を探るとみられる。もし関連が裏づけられれば、影の船団への規制と監視は一段と強まるだろう。エネルギーと安全保障が交差する海域で、欧州は次の一手を急いでいる。