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欧州中央銀行ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は12月10日、ウクライナ向け資金支援のために凍結中のロシア資産から生じる利益を活用するEUの新たな案について、これまでで最も国際法の原則に沿った設計だと語った。英紙Financial Times主催のイベントでの発言であり、長期化する戦争で追加支援が欠かせない一方、ユーロの信認を損なわずに負担を分かち合える仕組みになり得るのかが問われている。
凍結ロシア資産の利子で、誰がどれだけ負担するのか
EUが検討しているのは、ロシア中央銀行の資産そのものを没収するのではなく、制裁で口座に滞留している現金が生む利子や運用益だけを取り出し、ウクライナへの軍事支援や復興資金にあてる仕組みだ。約2千億ユーロとされる巨額資産を背景にすれば、加盟国の追加拠出を抑えつつ長期支援を続けやすくなるとの期待があると、Reutersなどの報道は伝える。
一方で、主権国家の外貨準備を事実上ウクライナ支援の原資とする発想には、将来の政治対立で自国資産が同じ扱いを受けるのではないかという懸念もつきまとう。ラガルド氏は、国際法を丁寧に踏まえた枠組みを示すことこそがユーロの信頼を守り、同時に欧州市民が納める税金だけに依存しない形でウクライナを支え続ける条件になるとの立場だ。支援の負担を「ロシア資産の利子」と「欧州納税者」の間でどう配分するかという問いが、今回の提案の核心にある。
没収は避け、利益だけを使う複雑な法的デザイン
国際法上、戦争当事国の中央銀行資産を一方的に没収することは禁じられており、EUもこの一線は越えないとしてきた。欧州理事会は2024年に、ベルギーのEuroclearなどが保有するロシア国債の償還資金や利子から生じる「特別利益」をEU側に拠出させ、その収入を防衛支援や復興に振り向ける枠組みを整備している。今回議論されている案は、この仕組みを拡張し、将来見込まれる利益を担保に多額の融資を先に用意する構想でもあり、G7が打ち出した国際的な枠組みを実行に移す意味合いも持つ。
ただ、訴訟リスクを懸念するベルギーや、対ロシア制裁に慎重なハンガリーなど、加盟国の足並みはそろっていない。ロシア政府は資産活用を「盗みだ」と非難し、対抗措置もちらつかせる。ラガルド氏は、所有権をロシアに残したまま利益だけを用いる今回の案なら、ユーロ圏の法秩序への信頼を守りつつウクライナ支援を続ける道になり得るとみており、この線引きが今後の対ロシア・対ウクライナ政策を左右すると示唆した。欧州がどこまでリスクを取り、どこまで法の枠内にとどまるのか、その判断が問われている。
参考・出典
- Latest EU proposal to fund Ukraine is closest yet to international law, Lagarde says
- Extraordinary revenues generated by immobilised Russian assets: Council greenlights the use of net windfall profits to support Ukraine's self-defence and reconstruction
- 🇺🇦 EU Foreign Affairs Council welcomes decision to use profits from immobilised Russian assets for Ukraine and issues warning for Georgia
- Immobilised assets: Council greenlights up to €35 billion in macro-financial assistance to Ukraine and new loan mechanism implementing G7 commitment
- Brussels pitches €140 billion loan for Ukraine using Russia's assets
