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各国の財務相が画面越しに並んだのは2025年10月1日。G7は、ロシア産原油の購入を増やす国や迂回に関与する主体を新たな標的に据え、関税や禁輸を含む通商措置で圧力を一段と強める方針を共同声明で示した。残る対露輸入の段階的廃止も掲げ、資金源の遮断を急ぐ構えである。
買い増す国を狙い撃つ
オンライン形式の会合後に公表された声明は、ウクライナへの侵攻が続くなか、G7が「共同で圧力を増す」と明言した点で重い。各国はこれまでの支援や制裁が一定の効果を上げたと総括しつつ、ロシアの戦費調達を断ち切るための追加措置に踏み込む必要があるとした。
とりわけ焦点となったのは原油である。声明は、侵攻以降にロシア産原油の購入を増やし続けている国、そして制裁逃れの迂回を助長する主体を標的にする方針を示した。特定の国名には触れなかったが、第三国経由の流通や関与者に矛先が向く構図が浮かぶ。
さらに「いまがロシアの原油輸出に対する圧力を最大化する時だ」との強い表現が並ぶ。輸送や取引での抜け穴に関与する者に対しては、違反行為の抑止と制裁の実効性確保を狙い、協調して厳格に対応する姿勢を前面に出したと映る。
通商カードの切り方
G7はロシアの歳入を断つ手段として、関税や輸出入禁止などの通商措置の重要性で一致した。各国がロシアからの残存輸入、とりわけ炭化水素を含む品目を大幅に削減し、最終的には段階的に廃止することを目標に、具体的な行動に移すと記した点は踏み込んでいる。
同時に、ロシアの戦費を下支えする国や事業体に対しても「真剣に検討する」通商措置や制限が言及された。ロシア産原油を原料とする精製品の扱いにも触れ、供給網のどこで付加価値が付いたかにかかわらず、資金の流れを断ち切る狙いがにじむとみられる。
資金面では、各国法制の範囲で、各国に凍結されているロシアの主権資産の「全額」の活用を視野に選択肢を練るとした。支援枠組みとして言及されたエクストラオーディナリー・レベニュー・アクセラレーション（ERA）ローンと併せ、持続的にウクライナの資金需要を下支えする構図である。
次の節目と残る不透明さ
G7は2025年10月15日にワシントンで開かれる国際通貨基金・世界銀行年次総会の機会に再び集い、第三国の関与に対する「重要な通商その他の措置」を含む議論を進めるとした。短期間で意思決定を重ね、実施段階へ移す工程が描かれているといえる。
他方で、対象国や対象者の線引きは明示されていない。現時点で確認されている範囲では、G7は効果の高い措置を迅速に整える意向を示しつつ、国際エネルギー市場の安定にも目配せしている。誰に有利なのか、偶然なのか必然なのか。そのバランスの妙が問われる局面である。
声明全体を貫くのは、制裁の網を第三国にも広げることで抜け穴を塞ぎ、ロシアの収入源を鋭く削ぐという意思だ。各国の国内法や産業への影響、価格の動揺をどこまで抑え込めるか。次の節目までの二週間で、協調の具体像がどれだけ固まるかに注目が集まっている。
