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ガザの夜空に再び爆発が走った。人質解放の用意を示したとするハマスの声明と、トランプ米大統領がイスラエルに爆撃停止を求めた発信が交錯するなか、イスラエル軍は４日もガザを攻撃し、住民の犠牲が広がった。６日に始まる見通しのエジプト協議を前に、停戦への道筋は揺れている。
ガザで続く攻撃、医療現場が伝える被害
夜明け前、救急車のサイレンが市街地の暗がりを縫った。同日、ガザ市やラファで空爆や銃撃が報告され、病院には遺体と負傷者が次々と運び込まれた。現地の病院関係者によれば、この日だけで少なくとも１２人が死亡した。子どもを含む犠牲が確認され、救援所周辺でも銃撃被害が出たとされる。
ガザ保健当局は累計の死者を６万７千人超、負傷者を約１７万人と推計する。民間人と戦闘員の区別はつかないが、国連や独立機関は概数として最も信頼できる指標とみなしてきた。爆撃停止の呼びかけが重なる中でも爆発音は止まず、避難民の列が延びる光景が続いていると映る。
イスラエル軍は「政治努力が不首尾なら戦闘を再開する」と警告し、北部への帰還を控えるよう住民に繰り返し注意している。一方でイスラエル政府報道官は「一部の爆撃は既に停止した」と説明した。現場の肌感覚と政府発表のあいだに、緊張の隙間風が吹く。
トランプ氏の停止要求と新提案の輪郭
トランプ氏は３日夜、独自の交流サイトでイスラエルに爆撃停止を強く求め、ガザ内部での部隊の後退線を示したうえで、ハマスが確認すれば「停戦は即時に発効する」との趣旨を発信した。現時点で確認されている範囲では、米政権が描く新提案は人質の段階的解放と治安移行、再建を束ねる枠組みとみられる。
米政権は各国首脳の支持表明を相次いで紹介し、合意形成を急ぐ構えを見せている。提案の中核には、残る人質およそ４８人の引き渡しと、イスラエル側による受刑者釈放、戦闘停止、ガザの統治移行が入ると伝えられる。受け入れの順序や検証方法が合意のカギになると映る。
昨春に示されてきた枠組みを踏まえた三段階の構造が想定され、第１段階の全面停戦と部隊撤収、第２段階の恒久停止への移行、第３段階の遺骨返還と大規模復興が並ぶ。今回の提案はその再設計版とみられ、実装の細部をめぐり対立点が残る。誰に有利な順序なのかという問いがなお消えない。
エジプトで始まる協議、焦点と不確実性
６日にもエジプト・シャルムエルシェイクで間接協議が始まる見通しだ。イスラエルはロン・ダーマー交渉責任者が参加し、米側からはウィットコフ中東担当特使が加わると現地当局者は語る。エジプト外務当局は、焦点は人質・受刑者の交換手順と、停戦後のガザの治安・統治枠組みにあると説明した。
ネタニヤフ首相は今週中の人質帰還発表に意欲を示したと報じられた。宗教的な節目の時期に合わせたい思惑もうかがえるが、連立内の強硬派や軍事的圧力との綱引きは続く。イスラエル社会では家族らの抗議集会が途切れず、早期合意を迫る声が政府を押している。
一方のハマスは人質解放の用意を公言しつつ、撤収ラインの確約や封鎖解除など実効的な見返りを求めているとされる。合意が遅れれば、現場の即時停戦と人道アクセスの確保が再び遠のく。停戦を先にするのか、検証を先にするのか。偶然ではない順序の攻防がカイロで始まる。
