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与信調査会社クレジットリフォーム（Creditreform）が8日に公表した調査では、2025年のドイツ企業の倒産件数が約2万3900件に達すると見込まれ、前年から8.3％増加し2014年以来の水準になるとされた。実質GDPは2023年に0.3％減、2024年も0.2％減と2年連続で縮小しており、景気低迷が続くなかで、企業の足元の脆さと中小企業・雇用への影響が改めて問われている。
中小企業と雇用を直撃する“静かな倒産増”
今回の予測によれば、倒産件数はコロナ禍直後よりもさらに増えた一方で、「倒産の波」という派手な印象とは異なり、多くは小規模企業の静かな退出だ。従業員10人以下のマイクロ企業が全体の8割超を占めるとされ、地域の商店や小さな製造業者、サービス業がじわじわと市場から姿を消している構図が浮かぶ。これらは単体では目立たなくとも、地域経済を支える裾野そのものだ。
倒産に伴う経済的損失は2025年に約570億ユーロと見込まれ、1件あたりの平均損失は200万ユーロを超える水準とされる。影響を受ける従業員は約28万5000人に達する見通しで、1社あたりの雇用規模は小さくとも、積み重なれば地域の雇用環境を覆す規模になる。仕入先や下請け、地元金融機関などにも連鎖的な打撃が及ぶ可能性が高く、数字以上の重さを持つ。
同じ調査では、個人の債務問題も悪化しているとされ、2025年の個人破産は7万6000件超と2016年以来の水準に達する見通しが示された。物価高や金利上昇で家計の余力が削られ、需要の弱さが企業収益を圧迫し、さらに雇用や賃金に跳ね返るという悪循環が強まっている。企業と家計の双方が限界に近づきつつあることが、今回の倒産予測からにじむ。
なぜ今増えるのか 構造的な負担と政策対応のずれ
クレジットリフォームのエコノミストは、多くの企業がコロナ禍以降の借入で債務を膨らませる一方、高止まりする金利のために新規融資を得にくくなっていると分析する。そこに、エネルギー価格の上昇や複雑な規制、環境投資などの負担が重なり、とくに体力の乏しい中小企業の資金繰りを圧迫しているという。売上の回復が鈍いなかでコストだけが構造的に上がる状況が、経営の持久力を削っている。
倒産件数は2023年、2024年と2年続けて2桁台の伸びを記録し、2025年は伸び率こそ鈍るものの、件数そのものはさらに積み上がるとされる。政府や欧州中央銀行によるコロナ禍の緊急支援や超低金利が徐々に解除され、延命されていた企業が淘汰される「押し寄せ効果」が続いている面もある。業種別には、サービス業や製造業など主要分野の多くで2桁の増加が報告されており、特定業種だけの問題ではない。
一方で、ドイツ政府はインフラ整備や防衛費増額などの公共投資によって2026年以降の景気押し上げを狙うが、民間投資や競争力の回復には時間がかかるとの見方が有力だ。統計局デスティatisによれば、実質GDPは2023年と2024年に2年連続でマイナスとなり、構造的な逆風が続く。倒産件数の増加が鈍化に転じるには、エネルギーコストや規制負担の軽減といった企業のコスト構造そのものを見直す改革が実行されるかどうかが、大きな焦点になりつつある。
