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米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁が、政府機関の一部閉鎖の影響は規模と期間で変わると語った。歴史的に短期で収束した例が多く、経済への打撃は限定的になり得るとの見立てだ。関税による物価押し上げは一時的との考えも重ね、影響が緩やかであることを願う姿勢をにじませた。インフレがなお粘る場合には、金融政策の舵取りが難しくなるとの警戒感も示した。
静かな本部で語られた「長さ」と「広がり」
会場はシカゴ連銀本部。農業と貿易を巡る会議の合間に、総裁は穏やかな口調で経済の要所を押さえた。日本時間では2025年10月1日 02:00の談話で、足元の不確実性を前に「何が起きるか」を見極める重要性を繰り返した。会場に漂う張り詰めた空気は、秋の政策判断の難しさを物語っていた。
総裁は、政府閉鎖の経済的な影響は「どれだけ長く、どれだけ広いか」に左右されると述べた。過去の閉鎖は多くが短期で、影響は限定的にとどまったと指摘する。相場や景気の波は一様ではないが、経験則が示す落ち着きどころを念頭に置くべきだと強調した。
さらに、統計の公表が止まる事態になれば、政策当局は代替データに頼らざるを得ないと語った。雇用や物価の公式指標が欠けると、会合前の評価は一段と難しくなる。中央銀行は自ら運営を続けられるが、判断材料の目詰まりは小さくないという現実だ。
関税の物価押し上げは「一時的」か
発言の背景には、関税が物価に与える波及の度合いがある。総裁はこれまで、関税が限定的で報復や広範な拡大を伴わないなら、物価への押し上げは一過性で、金融政策は見通しうる範囲で対応し得ると説明してきた。足元の場面でも、その慎重だが落ち着いた見方は揺らいでいない。
輸入の規模は国内総生産に比して大きすぎないという事実認識もある。総裁は、関税の波が広がらず、複数回の重ね掛けや報復が起きないなら、物価への持続的な圧力になりにくいと述べてきた。逆に、対象や期間が広がれば、価格の粘着を招くリスクは高まる。
貿易の不確実性は家計と企業の行動を通じて景気に影を落とす。仕入れ前倒しや価格転嫁の広がりは、一時的な需要の山と、その反動減を生みやすい。総裁は、物価と雇用の両立を図るうえで、こうした短期の揺らぎと持続的な変化を見分ける作業が欠かせないと示唆した。市場が過度に悲観しないための視線の置き方でもある。
インフレが粘るとき、難所は増える
総裁は、インフレがなお持続することが判明した場合には、政策運営が難しい局面に入ると警戒した。価格の上振れが一時要因なのか、基調の変化なのかを見誤れば、雇用に対する副作用も増す。時間を味方につけるには、根拠あるデータと、先行きを読み解く冷静さが求められる。
ただ、判断の前提となる統計が途切れれば、難しさは一段と増す。雇用や物価の速報が出ないままでは、現場の聞き取りや民間の高頻度データに重心を移すしかない。信号が薄れる中での舵取りは、過度な反応と手遅れの双方を避ける綱渡りに近い作業だ。
歴史は、短期の政府閉鎖なら経済への傷は浅いことも教える。だが、閉鎖が長引き、同時に関税要因が重なるなら、インフレの粘りは強まる恐れがある。総裁の発言は、希望的観測に寄りかからず、現実的なシナリオの幅を丁寧に見通す姿勢を示していると言える。
参考・出典
- Midwest Agriculture Conference – Federal Reserve Bank of Chicago
- Government shutdown impact on economy depends on length, breadth of outage, Fed’s Goolsbee says
- Fed’s Goolsbee: Will need to turn to other data sources if US reports suspended during shutdown -Fox Business
- Fed’s Austan Goolsbee says impact of tariffs could be limited | Crain’s Chicago Business
