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2025年9月28日夜、米ミシガン州グランドブランの教会で礼拝中に男が発砲し、建物に火を放った。現地当局によれば少なくとも4人が死亡、8人が負傷した。容疑者は現場近くで警察と銃撃の末に死亡し、動機は不明のままだ。安否不明者も複数いるとされ、捜索と確認が続いている。
現場で何が起きたのか
にわか雨のあと、郊外の広い芝生と駐車場に囲まれた教会にサイレンが重なった。目撃者の証言と警察の説明を総合すると、男は礼拝が進む正面玄関に車で突っ込み、そのまま車外に出て教会内外に向けて発砲を繰り返したという。礼拝の場で響いた破壊音と銃声に、人々は通路や出口へ雪崩のように走り、幼い子どもの手を引く親や高齢の信徒が互いに肩を貸し合いながら外へと逃れた。広い駐車場の向こうからは黒煙が垂直に立ちのぼり、炎が窓を舐めるのが見えたと住民は話す。現時点で確認されている範囲では、容疑者が液体の可燃物をまいたとみられ、火の回りはきわめて速かった。
通報を受けた警察は直近のパトロール隊が瞬時に現場へ入り、初動で会堂から溢れ出た人々を後方へ誘導した。のちの説明では、最初の警官が到着してから約30秒で容疑者に接触し、さらに7分ほどで屋外に出た男と交戦して制圧に至ったという。銃撃で割れた窓から炎と煙が噴き上がるなか、消防は延焼を止めるために外壁と屋根への放水を続け、内部への進入は安全が確保されるまで待つしかなかった。
火災の原因については捜査が続く。米アルコール・タバコ・火器・爆発物取締局の担当者は、加速剤とみられる物質の使用を示唆し、現場で疑わしい物体も確認されたと述べた。建物の一部は崩落の危険があり、夜まで煙がくすぶり続けた。周辺道路は封鎖され、信徒や家族は近くの施設へ誘導されて再会を待った。教会周辺の住宅街は静まり返り、屋根越しに残光だけが灯っていた。
わかっている被害と容疑者像
被害は時間の経過とともに判明した。現地当局は当初の会見で死者と負傷者の数を段階的に更新し、夜の時点で死亡4人、負傷8人と説明した。病院に搬送された負傷者のうち1人は重篤で、他は容体が安定しているとされる。火勢が強かった区域の捜索は難航しており、現場の安全が確保され次第、内部の徹底的な確認が行われる見通しだ。現時点で安否不明者が複数いるとの説明もあり、被害の全体像はなお流動的である。
容疑者は近隣の町バートンに住む40歳の男で、名前も公表された。警察は、男が教会の正面に車両で突入した後、ライフル様の銃で無差別に発砲し、さらに可燃性の液体をまいて着火したとみている。現場に向かった警官2人が男を追跡し、屋外での銃撃戦の末に射殺した。単独犯行の可能性が高いとみられるが、宗教施設との関係性や事前の準備の有無を含め、生活圏の捜索や通信記録の解析が続いている。犯行に用いられた車両や銃器の入手経路も調べられている。
教会側は「平和と祈りの場が暴力に襲われた」との声明を出し、地域の信徒が互いに支え合う姿勢を示した。事件当時、会堂には多くの信徒が集まっていたとされ、近隣の教会でも礼拝を一時中断し、施設の施錠や避難誘導が行われた。現場周辺には家族らのための再会拠点が設けられ、名簿照合と聞き取りが淡々と進められた。救急と消防、警察の無線が交錯する一方で、道路脇に停められた車の窓越しに、肩を抱き合う人々の姿があった。
広がる波紋と当局の対応
州知事は「礼拝の場での暴力は許されない」と述べ、州と地域が一体で被害者支援にあたる姿勢を示した。連邦当局も現地に入り、火災と銃撃の双方から捜査線を張っている。トランプ大統領はSNSで「キリスト教徒を狙った攻撃のように見える」と投稿し、FBIの支援と犠牲者への祈りを表明した。いずれの発言も現段階での評価にとどまり、警察は動機の断定を避けている。宗教施設への襲撃が続く米国の現実が改めて突きつけられ、地域社会は衝撃と悲嘆の中にある。
当局は夜にかけて現場でのブリーフィングを重ね、更新された死傷者数を公表するとともに、焼損が激しい区域の安全確認が済み次第、内部の捜索を拡大すると説明した。鑑識は火元の特定と燃焼促進剤の成分分析をすすませ、銃器と弾薬の種類、発砲位置の特定、弾道の復元を並行して進める。容疑者宅や関連施設に対する令状執行も準備され、行動履歴の再構成が試みられる見通しだ。現時点で確認されている範囲では、犯行声明や共犯を示す明確な手掛かりは伝えられていない。
視界の悪い煙の向こうで、消防は崩落の兆候に目を凝らし続け、警察は立入線の手前で家族を案内した。礼拝堂の椅子が焼け、壁にすすが残る光景は、地域の記憶に長く刻まれるはずだ。人が集い、祈り、歌う場所が安全であり続けるには何が必要なのか。事件が投げかける問いは重く、答えは簡単ではない。被害の全貌と動機の解明、そして再発防止のための現実的な手立てが、まずは粛々と求められている。
