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慶應義塾大学発のHeartseed(東京都港区)は2025年12月12日、iPS細胞由来の心筋細胞を球状にまとめた「心筋球」を、重症心不全の患者10人に投与した治験で、心臓の働きと自覚症状に前向きな変化がみられたと公表した。重い副作用など安全性の面でも大きな問題は確認されていないという。
「改善」が示すもの、手術に組み込む治療
治験は虚血性心疾患を背景に心機能が落ちた患者を対象に2022年から実施され、心筋へ直接細胞を届ける発想が核にある。公表内容によれば、前半5人は5,000万個、後半5人は1億5,000万個と、細胞数を変えて評価した。
観察期間も一律ではない。前半は術後1年、後半は術後半年の時点のデータで、自覚症状の重症度分類が10人中7人で改善し、残る3人も悪化しなかったとされる。数字の見せ方以上に重要なのは、「悪化を止められるか」という重症心不全の現実に対し、治療の選択肢が増える可能性を示した点だ。
一方で、10人規模の結果は出発点にすぎない。移植した細胞がどの程度心筋として機能し続けるのか、薬物治療や手術後の経過とどう切り分けて評価するのかなど、臨床の現場が納得する説明力が次の関門になる。
申請までの壁は製造と長期データ
Heartseedは結果を取りまとめ、2026年にも厚生労働省への製造販売承認申請を目指す方針を示した。再生医療は細胞の取り扱いと記録、報告の枠組みが厳格で、手続きの整合性が信頼性に直結する。承認の判断材料は有効性だけではなく、製造工程と品質管理を含めた「同じものを安定して届けられるか」でもある。
量産体制づくりは、患者の手元に届くまでの距離を左右する。ニコン・セル・イノベーションが治験用のiPS細胞由来心筋細胞や心筋球の製造を受託してきた経緯もあり、商用段階の供給設計が焦点になる。さらに同社は、カテーテルで投与する次世代品の準備も進めている。開胸手術に依存しない形に近づけられるかが、実装の速度を左右するとの見方もある。
