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技術者が映像を切り替えるたび、会場の視線がパワートレーンの断面に集まった。ホンダが明かしたのは、大型車向けに磨き上げた次世代ハイブリッドだ。投入時期は2020年代後半。主戦場と見定める北米で、同一セグメントのガソリン車比で燃費を30%以上、高速域の全開加速も10%以上高める設計とした。EVの伸びが鈍る局面で、環境性能と実用価値を両立させる現実解として、ラインアップ全体の軸を太くする狙いがにじむ。
大型HVの次の一手
2025年10月29日、ホンダは報道向けワークショップで次世代の電動化技術群を披露した。目玉のひとつが、大型ハイブリッドモデルに向けた新システムである。けん引や長距離移動といった現実の使われ方に合わせ、走りの力強さと環境性能をどちらも手放さない発想が前面に出た。Dセグメント級以上を想定した構成は、実用車としての骨太さを感じさせる。
心臓部には、新たに開発したV型6気筒エンジンを据えた。厳格化する環境規制に適合させつつ、高効率領域を広げている。そこに新開発のドライブユニットと高出力バッテリーパックを組み合わせ、損失の少ない電動アシストで駆動力を積み上げる。単体性能だけでなく、システム全体としての効率とコストの両立を狙うのが今回の設計思想だ。
完成車の狙いは明快だ。走行状況に応じて駆動モードを最適化するエネルギーマネジメント制御を採用し、同一セグメントのガソリン車と比べ燃費を30%以上、全開加速を10%以上引き上げる。けん引や合流のような高負荷下では力強く、定常巡航では静かに伸びる。大柄なボディにふさわしい余裕と、日常の移動に効く節度ある省エネを同時にねらった。
EV減速下で磨くハイブリッド
足元の市場では、充電インフラやコストの課題からEVの拡大ペースに揺らぎが見える。一方でハイブリッドは、既存の使い勝手を保ちながらCO2排出を抑えられる選択肢として存在感を増している。ホンダは5月の事業説明で、電動化の中核にHEVを据える方針を改めて示し、移行期を支える主力群として2027年以降のモデル群に技術を順次適用していく考えを明らかにした。
基盤となるプラットフォームも刷新される。高剛性と軽量化を高い次元で両立し、モジュール化で部品共通化を進める設計だ。現行比で大幅な軽量化を果たしたうえで、ボディの剛性配分を最適化し、接地性を高める。車体運動の制御にはロボティクスで培った姿勢制御の知見を応用し、ピッチ挙動の制御を加えるなど、人の意思に素直に従うハンドリングを目指す。
こうした土台の上に、効率の高いドライブユニットや電池の改良を重ね、コスト面でも量産性を意識したアプローチを取る。EVとHEVの混流生産や部品の最適配置を視野に入れ、需給の変化に揺さぶられにくい体制づくりを急ぐ。移行期に選ばれる車を着実に届けながら、次に来る普及段階へ投資するという二正面作戦である。
北米で試される存在感
主戦場となる北米では、広い室内と積載力を備えた大型車への需要が底堅い。今回のシステムは、力強い加速と高いけん引能力を確保しつつ、環境性能を引き上げることで、この需要に持続的に応える設計だ。投入のタイミングは2020年代後半。日常の移動からアウトドアまで、使い方の幅が広い地域の生活に合わせ、静かに確かなアップデートを仕込む。
一方で中核となる中型群や、都市部での使い勝手に優れた小型群にも次世代技術を波及させ、2027年以降のモデル群として順次展開していく構えだ。プラットフォームの共通化は開発と生産の効率を高め、各セグメントの個性を保ちながら全体の競争力を底上げする。高速道路の合流、郊外の幹線、週末の牽引車列。さまざまな場面で、電動化の歩幅を一歩ずつそろえていく。