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中米ホンジュラスで、11月30日に実施された大統領選の後処理が深刻な政治危機に発展している。カストロ大統領は9日、混乱する開票作業を「選挙クーデター」と呼び、国連や欧州連合、米州機構など国際機関に訴える意向を示した。首都テグシガルパでは、結果の透明性を求めて数百人規模の抗議行動が続き、次期大統領が誰になるのか見えないまま、市民の不信と不安が膨らんでいる。
混乱する開票、路上ににじむ不安
英紙ガーディアンやReutersによると、開票結果の速報はたびたび中断し、選挙管理を担う国家選挙評議会(CNE)のサイト更新も止まりがちだという。暫定集計では、保守系のナスリ・アスフラ候補と中道系のサルバドール・ナスラジャ候補が、得票率40%前後でほぼ横一線の争いを続けている。一方で投票所の集計表の約1割強に「不一致」などの問題が見つかり、特別な点検や再集計の対象になっている。
こうした不透明さに、市民の苛立ちは街頭に噴き出した。首都では、与党リブレ党の支持者だけでなく、特定の政党に属さない有権者も「票を正しく数えろ」と声を上げ、選挙管理当局の庁舎前に集まっている。2017年選挙後の抗議デモで死者が出た記憶が残る中、平和的な抗議を続けつつも、「また暴力に発展するのでは」と身構える人も少なくない。
CNEには、法律上30日以内に結果を確定させる猶予があるとされる。だが、その時間的余裕は、物価高や治安悪化に直面する庶民にとって「政治家だけの余白」とも映る。欧州連合や米州機構の選挙監視団は、公式結果を待つ冷静さと手続きの尊重を呼びかけているが、日々の生活に直結する政権交代の行方が見えないこと自体が、社会の不安定さを増幅させている。
トランプ介入疑惑と制度のほころび
今回の混乱を象徴するのが、外国からの影響をめぐる疑念だ。ガーディアンなどの報道では、トランプ米大統領が保守系のアスフラ候補を公然と後押しし、自らの支持候補が敗れればホンジュラスへの支援を見直すと示唆したとされる。さらに、薬物取引を巡り米国で有罪判決を受けた元大統領フアン・オルランド・エルナンデス氏への恩赦も、選挙直前に行われたことで「特定陣営に有利な政治的メッセージ」と受け止められている。
一方で、制度そのものの脆さも露呈した。Reutersは、開票情報を送信する「TREP」と呼ばれるシステムで技術的障害やパスワードの不正侵入疑惑が指摘されていると伝える。人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは選挙前から、検察による選挙当局者への捜査や政治的圧力が続いていたと警鐘を鳴らしており、公正さを担保すべき機関への信頼はもともと揺らいでいた。
カストロ大統領は、こうした外部からの圧力と制度上の問題が重なった結果として「選挙クーデター」が進行していると主張し、国連や欧州連合、米州機構などに問題提起すると表明した。これに対し、野党側には票の全面再集計を求める声から、選挙そのものの無効化を訴える意見まで、対応を巡って温度差がある。たとえ最終的に誰が勝者と宣言されても、今回の経験は制度改革や監視体制の強化なしには市民の信頼は戻らない、という見方が現地メディアや国際監視団の間で広がりつつある。
