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法務相の私的懇談会「出入国在留管理政策懇談会」は2025年12月22日、今後の入管行政の方向性をまとめた報告書を平口洋法相に提出した。在留外国人が増えるなか、不法就労などを防ぐには在留管理の適正化が欠かせないとし、共生社会に向けて日本語や日本文化を学ぶ機会づくりも検討課題に据えた。
増える在留者、現場に求められる「受け入れの段取り」
報告書が強調した「受け入れ環境」の整備は、国の理念だけでは完結しない。職場の安全教育や地域の防災情報、子どもの学校生活まで、日常の入口で言葉が通じないことは小さな摩擦を積み重ねる。在留管理は、ひとことで言うと「誰がどこに、どの資格で滞在しているか」を把握し、ルールを守る人が不利にならない土台をつくる作業だ。
一方で日本語や文化理解の「機会提供」は、講座を用意すれば終わりではない。勤務時間が不規則な人、家族帯同の人、地域に相談先がない人など、同じ在留資格でも生活条件は違う。自治体、企業、支援団体の役割分担が曖昧なままでは、必要な人に届かないまま取り残される。報告書の提起は、制度の網目を「現場の時間割」に合わせ直す宿題を突きつけた形だ。
取り締まりと支援を同じ地図に載せる
「不法就労」対策は、働く意思のある外国人を一律に疑うことではない。本来の狙いは、偽装就労や資格外活動を抑え、労働市場のゆがみを減らす点にある。取り締まりの実効性を上げるには、在留情報の更新や雇用側の手続きの分かりやすさ、相談導線の整備がセットになる。支援が弱いまま規制だけが強まれば、制度の周縁に人が押し出されるリスクが残る。
政策の前提となる人数も増えている。出入国在留管理庁は2024年6月末時点の在留外国人数を358万8,956人と公表しており、共同通信は2025年6月末時点で約396万人に達したと報じた。懇談会は2024年12月に初会合を開き、将来の施策立案や「第二次出入国在留管理基本計画」の検討に資する場として位置づけられてきた。入口管理と共生支援を別々に積み上げるのではなく、同じ地図上で負担と効果を見える化できるかが、次の焦点になりそうだ。
