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イスラエルが2025年12月26日にソマリランドを国家承認したことを受け、ソマリア各地で12月30日、大規模な抗議デモが広がった。首都モガディシオでも群衆が集まり、政府は主権侵害として国連での対応を急ぐ。分離を巡る外交の綱引きが、国内の治安運用と周辺国の関与を揺らしている。
首都スタジアムに人波、抗議が生活動線を変える
モガディシオでは主要スタジアム周辺などに人が集まり、国旗を掲げて承認撤回を求めた。AP通信は参加者が数万人規模に達したと伝える。空港周辺でも集会が開かれ、移動や営業を控える動きが出るなど、都市の動線そのものがデモに吸い寄せられた。
抗議の矛先はイスラエルだけでなく、北西部で自治を続けるソマリランドの地位問題にも向く。ソマリランドは1991年に独立を宣言し独自の政府や通貨を持つが、ソマリア連邦政府は一貫して領土の一部と位置づけてきた。今回のデモは、分裂回避を掲げる国内世論の結束を示す場にもなった。
国連で「領土一体」を再確認、対立が映す次の焦点
国連安全保障理事会では12月29日の会合で、国連事務総長補（政治・平和構築局）のキアリ氏がソマリアの主権と領土一体性の尊重を求め、当事者間の対話再開も促した。ソマリア外務省は複数国と連名の声明で、承認は国連憲章に反すると批判した。トルコのエルドアン大統領も12月30日、ハッサン・シェイク・モハムド大統領と並んで「違法で受け入れられない」と述べた。
争点は、国家承認という一手が「既成事実化」を進めるのか、それとも反発の強さで封じ込められるのかだ。イスラエルは新たな協力の可能性を強調する一方、安保理ではガザ情勢と結びつける懸念も一部から出た。ソマリア側は撤回要求と国際世論の形成を軸にするが、長期化すればソマリランドとの交渉や治安対策の優先順位が揺れる。
