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政府がまとめた令和8年度予算案で、外国人政策の関連経費が前年度当初予算から約1300億円上積みされた。高市早苗首相は、一部の外国人による違法行為やルール逸脱が、国民の不安や不公平感につながっていると説明する。人手不足で受け入れが続く現実を前提に、在留管理の運用や制度を組み替える局面に入った。
「暮らしの公平感」を守る名目で、現場の手続きが増える
今回の増額が示すのは、「共生」と同時に「管理」を前に出す姿勢だ。首相は、国民が不安を抱く状況を放置しないとして、在留管理の適正化を進める方針を掲げた。たとえば自治体の窓口や職場では、在留資格の確認や相談対応が、従来より細かく求められる場面が増え得る。
政府は2026年1月に、外国人政策の総合的な対応策を取りまとめる考えだ。首相は、固まった施策から順次実行するよう指示している。論点は、取り締まりを強めるほど、手続きの負担や萎縮が生まれないかという点にある。安心の確保と、必要な人材を呼び込む環境づくりを同じ線上で扱えるかが問われる。
入国前にふるい分ける「JESTA」へ、予算が先回りする
水際対策の柱として、電子渡航認証制度（JESTA、渡航前のオンライン事前審査）の導入準備も進む。予算案では、システム開発などに44億円を計上し、令和10年度中の導入を目指す。渡航目的などを事前に確認し、入国から出国までの情報を一元管理する構想で、不法滞在目的の来日を抑える狙いがある。
旅行者側の体感でいえば、航空券を取る前後にオンライン申請が増え、「許可が下りてから出発する」流れが当たり前になる可能性がある。制度の効果は、審査の精度と運用の透明性に左右される。締め付けだけが先に立てば、観光やビジネスの動きに影響が出かねない。どこまでを「危険の芽」とみなし、どこからを「通常の往来」として通すのか、基準づくりが次の焦点になる。
