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政府は、各国がAIのリスクと管理を話し合う「AIサミット」を2028年に日本で開催する案を固めた。近く開く人工知能戦略本部で首相が表明する方向だ。AI基本計画が掲げる「信頼できるAI」を、国際議論の場で主導したい考えである。
招致は「国内の統治」を試す踏み絵になる
サミット招致は、国内の足元を映す。人工知能戦略本部は2025年9月1日に内閣に設置され、首相を本部長に全閣僚が参加する司令塔になった。基本計画では研究開発の加速と、偽情報や安全保障などのリスク対応を同じ机で扱うことになる。
「信頼できるAI」は、精度の高さよりも、点検と説明の仕組みがあるかが問われる概念だ。ひとことで言うと、事故が起きても原因を追え、必要なら止められる状態で使うということになる。政府調達や自治体利用で基準を示せるかは、開催国としての説得力を左右する。
議題が広がるAIサミットで、日本が背負う役割
会合の系譜は、2023年11月の英国AI Safety Summitで「ブレッチリー宣言」が採択され、2024年5月には英韓共催でソウル会合が続いた。2025年2月のパリAI Action Summitでは、包摂性や持続可能性を含む行動の色合いが強まった。議題が広がるほど、各国の利害調整は難しくなる。
日本開催が実現すれば、標準化や監査、国境を越えるデータ移転などでアジア側の論点を束ねる余地がある。一方で、学習データと著作権、情報操作対策、電力消費といった国内の宿題を先送りにはできない。2028年という年限は、外交イベントの予定表であると同時に、国内ルール整備の締め切りにもなる。
