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こども家庭庁は2025年12月22日、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」の運用指針案をまとめ、有識者会議が大筋で了承した。制度の狙いは、採用や配置の段階でリスクを拾い上げ、子どもの場を「後追い対応」から「予防」へ寄せることにある。一方で、現場には新しい確認業務と判断責任が降りてくる。
現場に落ちてくる「確認」と「配置」の重さ
日本版DBSは、学校や保育、放課後の活動など、子どものそばで働く人の前科情報を扱う仕組みだ。運用が始まれば、雇用主は採用時だけでなく、働き続ける人の取り扱いも含め、どの場面で何を確認し、結果を誰が知り、どう記録するかを決め直す必要がある。大規模法人だけでなく、小さな学童や地域クラブほど事務負担が重くなり得る。
確認で該当が出た場合、子どもと直接関わる業務から外すなどの防止措置が求められるのが制度の骨格だ。さらに検討会では、被害の訴えが出た段階で一時的に接触を避ける運用や、情報管理のあり方も論点として扱われてきた。結果として、現場は「安全のための空白時間」をどう確保するかという人員配置の課題とも向き合うことになる。
2026年12月開始へ、線引きと運用の詰めが残る
制度の根拠となる「こども性暴力防止法」は2024年6月に成立し、施行期限は2026年12月25日とされている。DBSは英国のDisclosure and Barring Serviceに由来し、前歴の開示と就業制限を組み合わせる発想だが、日本では職業選択の自由やプライバシーとの調整が避けて通れない。今回の指針案は、その調整を現場の手順へ落とす「地図」になる。
焦点は、どこまでを「子どもと接する仕事」とみなすかという範囲の線引きと、確認結果の保管、共有、廃棄のルールをどれだけ明確にできるかだ。安全確保の実効性を高めつつ、過剰な排除や恣意的運用を招かない仕組みにするには、雇用主を責めるだけでなく、手続きの標準化や支援策も要る。指針案の了承は通過点で、現場が回るかどうかはこれからの詰めにかかっている。
