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中国軍が台湾を取り囲む形で始めた大規模な軍事演習を巡り、日本政府が2025年12月29日、中国側に懸念を伝えていたことが分かった。台湾問題は対話によって平和的に解決されることを期待する立場も示したという。関係者が12月30日に明らかにした。演習は実弾射撃も含むとされ、周辺の民間航路や地域の緊張に影響が出ている。
航空路線も揺れる、演習が生む実務の負担
今回の演習は、中国軍東部戦区が「正義使命2025」と名付け、台湾周辺の複数海空域で実施している。台湾国防部は12月30日までの動きとして、中国軍用機延べ130機や艦船などを確認したと発表した。AP通信は、航空便の遅延が相次ぐなど民間にも影響が出たと報じている。危険を避けるための迂回が、日々の運航に跳ね返りやすい。
「包囲」型の演習は、戦力を誇示するだけでなく、海空域の一部を一時的に使いにくくする点が特徴だ。Reutersは、封鎖や攻撃を想定した訓練を実施したと伝えた。空港のカウンターでの振り替え手続きや、海上輸送の時間調整といった地味な負担が積み重なる。偶発的な接近や誤認が起きないよう、現場の監視と連絡の精度が問われる局面でもある。
日本の伝達と残る論点、対話要求は届くか
共同通信によると、日本政府は12月29日に中国側へ懸念を伝え、台湾を巡る問題の平和的解決を求めた。日本としては、力による一方的な現状変更に反対する姿勢を示しつつ、対話を促す言葉も重ねた形だ。外交上は、抑止のメッセージを出すほど、意思疎通の回線も同時に確保しないと、緊張が高いときほど誤算が起きやすい。
論点は二つある。第一に、演習の規模が拡大するなかで、偶発的な事態を防ぐための連絡枠組みが機能するかどうかだ。第二に、対話を求める各国の発信が、当事者の行動をどこまで抑えられるかである。日本外務省が2025年4月に公表したG7外相声明でも、台湾海峡の平和と安定を重視し、建設的な対話による解決を促していた。今回も同じ言葉を繰り返すだけでなく、危機管理の具体策を積み上げられるかが焦点になる。
参考・出典
- 日本政府、台湾包囲演習で中国に懸念 | NEWSjp
- China encircles Taiwan in massive military display
- China flexes capabilities on Day 2 of military drills near Taiwan | AP News
- 台湾周辺に中国の軍用機130機、90機が「中間線」越え – フォーカス台湾
- G7 foreign ministers' statement on China's large-scale military drills around Taiwan | Ministry of Foreign Affairs of Japan
