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2025年12月18日、国家安全保障局(NSS)局長や防衛事務次官を務めた経験者ら元政府高官7人が、日本のインテリジェンス機能を強化する提言をまとめた。公安調査庁を土台に、英国のMI6を参照した対外情報機関をつくる構想を掲げる。議論の軸は「看板」より、現場が動ける制度の有無に置かれている。
「組織を増やす」より先に、動けるルールをそろえる
提言が強く意識したのは、海外での情報収集は“正攻法”だけでは回らないという現実だ。身分を隠して接触する活動や、相手側に便宜を与える行為が、国内法の観点から常にリスクになるなら、必要な情報ほど取りに行けなくなる。そこで、一定の手続きの下で身分偽装や贈賄に関わる行為を免責する制度や、協力者の退避や亡命を可能にする枠組み整備を求めた。
同時に、人材と運用の土台も課題に挙げた。情報活動に携わる公務員の処遇改善、各機関が保有する情報を政府内で共有できる仕組み、関連人員と予算を倍以上へ増やす提案である。権限が強い組織ほど、監督と説明責任の設計が遅れると逆風を招く。制度整備の議論は、強化と統制を同じテーブルに載せられるかが焦点になる。
安保3文書改定で、情報の「司令塔」をどう描くか
提言は、日本の情報能力が主要国に比べて遅れているとの問題意識を示し、国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定に情報活動を最重要級の論点として織り込むよう迫った。防衛省は2025年10月、3文書改定に資する検討を進める枠組みとして「防衛力変革推進本部」を設け、2026年中の改定を目指す作業に入っている。情報活動の制度改修が、ここに接続するかが次の政治課題だ。
ただ、司令塔の絵姿は単純ではない。公安調査庁はこれまで、国内の治安や国際テロなどを視野に情報収集と分析を担ってきた経緯がある。対外情報機関へ重心を移すなら、任務の線引き、採用と育成、他機関との役割分担まで再設計が必要になる。日本戦略研究フォーラムなどでは、内閣に集約する分析力と各機関の現場力をどう接続するかが課題だとの議論もある。組織新設の可否だけでなく、共有と統制をどう両立させるかが問われている。
