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審査窓口に積み上がる届出の束を前に、政府が外為法に基づく対日投資の事前審査を見直す方針を固めた。地政学リスクが重くなる中、より高いリスクを効率的に見極める狙いで、把握の難しい案件への対応も視野に入る。必要なら法改正を伴う可能性がある。運用を絞り込み、企業と投資の両面で負担と効果の均衡を探る局面に入った。
審査を絞り込み、見落としを減らすために
見直しの中心は、限られた審査資源を真に高リスクの案件へ振り向ける仕組みづくりである。改正で届出対象や指定業種が広がって以降、実務の現場では、届出件数の増加と案件の複雑化が進んだ。政府は、形式的な手続を減らし、実質的な安全保障上の懸念に集中する道筋を描こうとしている。
一方で、表に出にくい影響関係や投資主体の変化に目配りする必要もある。国内投資家であっても実質的に海外の公的主体の影響下にある場合や、届出を経て株式を取得した後に投資主体が買収で入れ替わる場合など、現行の把握が難しい場面は少なくない。見直しは、この盲点を埋める措置の検討も含むとみられる。
分科会で浮かぶ実務の線引き
財務省の審議会では、運用の合理化に向けた具体論点の整理が進む。株主としての行為の扱いを含む線引きの明確化、届出免除の条件や上乗せ基準の見直し、実務の予見可能性を高めるガイダンス整備などが議題に上り、資料では対象の考え方や負担軽減の方向性が示された。
討議では、投資の自由という原則と安全保障の要請をどう両立させるかが繰り返し問われた。制度は門戸を閉ざすためではなく、リスクの高い投資に的確に向き合うためのものだという基本を共有しつつ、企業の資本政策や国際的な資金循環を阻害しない運用へ、細部の調整が続いている。
外為法改正で広がった枠といまの課題
現行の枠組みは、2019年の外為法改正で大きく形を変えた。上場企業の株式取得に関する届出の基準は10%から1%へと引き下げられ、役員就任や重要事業の譲渡・廃止といった行為も審査対象に加わった。取得時の事前届出を免除する制度も導入され、2020年5月8日に施行されている。
当時の改正は、投資の促進と安全保障への対応を両立させる設計であった。今回の見直しは、その延長線上で運用の実効性を高める位置づけにある。指定業種の広がりや情報通信分野の重要性が増す中、サイバーや重要インフラに関わる事業をどう絞り込むか、実務に根差した調整が鍵となる。静かな均衡点を探す営みは、しばらく続きそうだ。
