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記者会見場で片山さつき財務相がマイクに向かい、新しい組織の名を読み上げた。租税特別措置や補助金、基金の無駄を洗い出すための「租税特別措置・補助金見直し担当室」。高市早苗首相が掲げる「責任ある積極財政」を支えるため、政府支出の中身を点検する日本版DOGEが、静かに走り始めた。
日本版DOGE、新組織が動き出す
政府は2025年11月25日、内閣官房の行政改革推進本部事務局を「行政改革・効率化推進事務局」に改組し、その下に「租税特別措置・補助金見直し担当室」を新設した。関係省庁からの併任職員を集めた約30人規模の体制で、財務省や総務省と連携して作業を進める。自民党と日本維新の会の連立合意に盛り込まれた「政府効率化局(仮称)」構想を具現化したもので、日本維新の会からは遠藤敬首相補佐官もメンバーに加わる。
この新組織は、トランプ米政権でイーロン・マスク氏が率いた政府効率化省(Department of Government Efficiency、DOGE)を参考にしたとされる。ただし日本版は省庁再編ではなく、既存の租税特別措置や高額な補助金、各種基金の効果を検証し、政策効果の薄いものを整理することに重点を置く。見直し結果は、2026年度の予算案や税制改正から可能なものを反映し、以降の予算編成にも生かす方針だ。歳出削減の目標額は、現時点では公表していない。
減税と補助金をどう見直すのか
対象となる租税特別措置は、本来は賃上げ促進や研究開発投資、地域振興など特定の政策目的を後押しするために設けられた税の優遇制度である。一方で、導入から時間がたった措置の中には、目的を果たしているか不透明なものもあるとして、政府税制調査会の専門家からは縮小や廃止を求める意見が出てきた。巨額の国債残高を抱える中で、高市政権は景気下支えのための積極財政と、財政の持続可能性をどう両立させるかという難しい課題に直面しており、今回の点検はそのバランスを示す試みともいえる。
担当室は、まず各省庁が過去の行政評価などで指摘された補助金や基金を洗い出し、一覧化する作業から着手する予定だ。来週にも連絡会議を開き、優先的に検証すべき案件を絞り込む。片山財務相は、X(旧ツイッター)などSNSを通じて国民から幅広く意見を募る考えも示した。さらに、見直しに抵抗が強い案件では、担当大臣同士の公開討論を行う案にも言及している。議論の過程をできる限り公開し、「財政のサステナビリティを保つために不断の見直しをしている姿を国民に見える形にしたい」と語る。
数字だけを見れば、削るか残すかの判断に見えるが、その裏側には地域や企業、働く人の暮らしが重なっている。日本版DOGEの作業が進むほどに、予算書の行間に潜んでいた優先順位や価値観が、少しずつ輪郭を帯びて表に出てくるのかもしれない。
