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小さな砂浜を装甲車が次々と駆け上がる映像が、中国軍の公式SNSに流れた日、日本の国会では台湾有事をめぐる議論が続いていた。台湾を囲むような大規模演習を、中国軍が年内にも再開するとの見方が広がる中、日本の発言に反発した北京は、軍事面の示威行動で圧力を強めつつある。台湾にわずか約110kmの与那国島を抱える日本にとって、その動きは遠い出来事ではなく、自国の安全保障の延長線上にある問題として浮かび上がりつつある。
包囲演習再開観測と日本への圧力
台湾方面を担当する東部戦区は、水陸両用戦闘車が砂浜に上陸する訓練映像を公開し、国営メディアもロケット弾の連射や艦砲射撃の様子を「実戦訓練」として繰り返し報じた。実施時期は明かされていないが、台湾周辺での侵攻や海上封鎖を想定し、米軍だけでなく自衛隊との交戦も視野に入れたシナリオを重ねている可能性が指摘される。日本が台湾をめぐって武力介入すれば「重大な代償を払うことになる」とする中国国防省報道官の激しい言葉は、与那国や沖縄、さらに南側に位置するフィリピンの米軍拠点を念頭に、挟撃を避けたいという中国側の警戒感をにじませる。
こうした威嚇は、ここ数年の台湾包囲演習の延長線上にある。中国軍は2024年、台湾本島や離島を取り囲む「連合利剣-2024A」「同B」を実施し、後段のBでは重要港湾の封鎖や区域制圧まで科目に含め、事実上の封鎖作戦をシミュレートしたと分析されている。今年4月には台湾周辺で2日間の演習を行い、2日目には台湾海峡西側で「海峡雷霆-2025A」と名付けた訓練を実施したとされる。昨年のパターンにならえば、年内に末尾がBの演習へと発展させ、包囲と封鎖能力を誇示するとの観測が広がる。日本の防衛計画が重ねてきた「台湾有事は日本有事」という前提は、こうした演習の一つひとつによって、より具体的な軍事上の計算として迫ってきている。
東部戦区の揺らぎと空母「福建」就役
一方で、台湾を担当する東部戦区の内部では、関係する軍高官の汚職摘発が相次ぎ、捜査が拡大していると伝えられる。指揮系統の人事が揺らぐ中でも、台湾作戦の能力は落ちていないと内外に示す必要があるとの見方から、訓練のテンポを落とさないという判断が働いているとの指摘もある。台湾の頼清徳政権を「分離独立勢力」と位置づける北京にとって、軍事演習は外交的抗議の延長であると同時に、国内向けに党と軍の統制が保たれていることを印象づける手段でもある。東部戦区の実動演習が繰り返されるほど、台湾周辺の住民だけでなく、日本の南西諸島で暮らす人々もまた、日常のすぐ近くで軍事リスクが高まっていることを実感せざるをえない。
今月就役したとされる中国海軍3隻目の空母「福建」は、その象徴的な存在だ。電磁カタパルトを備えた初の国産空母として、今月中旬には多数の艦艇を伴う初の訓練航行が中央テレビで報じられ、今後は西太平洋方面での活動が本格化するとみられる。これが東部戦区や北部戦区の艦隊と組み合わさると、台湾海峡だけでなく、バシー海峡や与那国島近海、さらには日本列島南側のシーレーンにまで圧力をかける運用も想定される。中国国防省が日本への警告を強める中で、空母打撃群の外洋展開は頼清徳政権だけでなく、日米同盟に対する牽制としての色彩を強めている。
日本社会に広がる「台湾有事」への距離感
高市早苗首相が国会で台湾有事への関与を明確に語ったことは、中国側の激しい反発を招いたが、日本の議論自体は突然始まったわけではない。2021年には当時の副首相、麻生太郎氏が「台湾で重大な事態が起きれば、日本の存立危機事態になり得る」と発言し、日米が共同で台湾防衛に当たる可能性に言及している。2015年の安全保障関連法で集団的自衛権の行使が一部認められて以降、台湾有事が日本の防衛計画にどのように組み込まれるのかは、与野党を問わず避けて通れないテーマになった。ただ世論の側には、台湾を支える意義を感じつつも、自国への攻撃リスクや負担増への不安が根強く、政治の言葉と市民感覚とのあいだに温度差も見える。
台湾に最も近い与那国島をはじめ、南西諸島には自衛隊の新たな駐屯地やミサイル部隊が相次いで配置されてきた。台湾周辺で中国軍が包囲や封鎖を想定した演習を繰り返せば、日本の輸送路や航空路も同じ海空域を通る以上、事実上日本の安全保障環境も同時に試される。中国軍が「挟み撃ち」を避けようとすればするほど、台湾、有事を巡る米軍と自衛隊の連携を抑え込もうとする圧力は強まるだろう。台湾の人々にとっては生存の問題であり、日本にとっては自国防衛と他国支援の境界が曖昧になる問題であるという、この二重の意味づけが、今後の政策選択を難しくしていく。
波打ち際を走る戦闘車両の映像は、物理的な距離の近さだけでなく、平時と有事の境目の薄さも映し出しているように見える。繰り返される演習が「抑止」なのか「準備」なのかを見極めることは難しいが、静かな海面の下で進む力比べを意識せざるをえない日常が、着実に広がりつつある。
