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ニューヨークの国連本部で、1通の書簡が静かに受け取られた。送り主は日本の山崎和之国連大使。2025年11月24日付でグテレス国連事務総長に届けられたその文書は、中国の傅聡国連大使が高市早苗首相の台湾有事発言を批判した書簡への正式な反論だった。国会でのやり取りが、そのまま国連という世界の舞台に持ち込まれた形である。
国連本部で向き合う日中の主張
発端となったのは、11月21日に傅聡大使が送った書簡だ。傅氏は、高市首相が台湾有事を日本の集団的自衛権行使につながる「存立危機事態」になり得ると述べたことを「国際法と戦後秩序への重大な違反」と批判し、発言の撤回を要求した。この書簡は国連総会の公式文書として全加盟国に配布される予定で、日本が台湾問題への武力介入の野心を示したとも非難している。
これに対し山崎大使は、自らの書簡で中国側の主張を「事実に反し、根拠に欠ける」と退けた。日本政府の見解を丁寧に説明したうえで、同じく加盟国向けの正式文書として扱うよう事務総長に求めている。日中両国の国連大使が、首脳の国会答弁をめぐり互いに書簡を出し合うのは極めて異例だ。国連報道官は24日の会見で、対話による緊張緩和の重要性を改めて呼びかけた。
専守防衛と台湾政策をめぐる日本の説明
山崎大使がまず強調したのは、日本の防衛政策が「専守防衛」に基づくという点である。専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに必要最小限の力で防ぐという受動的な戦略を指す。書簡では、武力攻撃が発生していない段階で日本が自衛権を行使するかのように描く中国側の説明は誤りだとし、高市首相の答弁もこの枠組みから逸脱していないと位置づけた。
一方で日本は、2015年の安全保障関連法で「存立危機事態」という概念を導入し、同盟国などへの攻撃で日本の存立が脅かされる場合には限定的な集団的自衛権の行使を認めている。高市首相は7日の国会で、台湾有事がこの条件に該当し得るとの見解を示し、中国の強い反発を招いた経緯がある。山崎大使は、台湾に関する日本の立場は1972年の日中共同声明以来変わらず、対話を通じた平和的解決を期待すると改めて記し、緊張が文化交流や経済にも影を落とし始めた今こそ、言葉の応酬を越えた冷静な対応が問われていることをにじませた。
