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特許庁は2026年1月から、過去の特許審査の事例をAI(人工知能)で要約し、新興国の知財当局に提供する方針だ。まずタイから始め、順次ほかの国にも広げる。海外での審査を早め、日系企業が現地で権利を取りやすくする狙いで、審査期間の短縮と要約の品質管理が論点になる。
タイの審査現場を軽くする「要約」
仕組みは、提供先の国が作った審査リストを受け取り、日本側が該当する企業などの審査結果を検索するところから動く。特許庁の調査結果や判断理由をAIでまとめ、提供先の審査官が読むべきポイントを短く提示する。たとえば先行技術調査の照合や、新規性・進歩性の判断で「どこを争点にしたか」を探す手間を減らし、着手までの時間を縮める発想だ。
審査が長引く国では、出願から結論まで待つ間に製品投入や投資判断が遅れやすい。審査の早期化は、現地で権利化するか、別の守り方を選ぶかといった経営判断を前倒しする効果もある。一方で、要約はあくまで補助資料で、現地の法制度や運用差を埋めるものではない。審査官が最終判断に使う情報の「入口」を整える施策と言える。
審査の早さと権利の確かさ、両立できるか
特許庁は以前から、AI関連技術の審査事例を事例集として公表し、判断のポイントを示してきた。また、AI関連発明を効率的かつ高品質に審査する体制として、部門横断の支援チームを置くなど、審査実務の標準化と知見共有を進めている。国際面でも、日米欧中韓の五庁(IP5)でAI関連発明の審査実務の比較整理を行っており、今回の取り組みは「知見を渡し、審査を分担する」流れの延長線上にある。
ただ、AI要約で速さを得るほど、要約の誤りや、判断理由の抜け落ちが現場の手戻りを生みかねない。論点は、①要約の根拠となった審査記録をどこまで確認できるか、②機微情報の扱いをどう管理するか、③要約が「参考」から「実質のテンプレ」に寄りすぎないか、の3点だ。審査期間の短縮だけでなく、現地側が自前の調査力を積み上げられる設計になっているかが、拡大の成否を分ける。
