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政府閉鎖の闇に差す、かすかな灯がともった。トランプ政権が打ち切りを示唆していた低所得者向け食料支援（SNAP）について、連邦地裁の2人の判事が10月31日に相次いで政府に継続を求める判断を示した。米農務省（USDA）は予備資金を用いて少なくとも部分的な給付を続けるべきだとされ、11月1日の支給中断リスクに急ブレーキがかかった。
司法判断の骨子
ボストンのインディラ・タルワニ連邦地裁判事は、SNAPの全面停止は法に反する可能性が高いと指摘し、USDAが予備資金で11月分の給付をどう賄うか、11月3日までに方針を示すよう命じた。直ちに満額支給を命じたわけではないが、少なくとも予備資金の活用を前提に、部分給付を含む具体的な実施計画の提出を促した。
プロビデンスのジョン・J・マコネル連邦地裁判事は、USDAが積み立てたSNAP向けの予備資金を「できるだけ早く」11月分に充当するよう命じ、必要に応じて別の基金の活用可能性も検討すべきだと述べた。提訴したのは非営利団体や民主党系の自治体などで、給付停止がもたらす即時かつ深刻な被害を強調した。
論点と法的根拠
両判事は、政府閉鎖下でもUSDAがSNAPの予備資金にアクセスできないという政府主張は誤りだと判断した。他方、政府側は反対給付なしの支出を禁じる歳出禁止法（Antideficiency Act）への抵触を示唆し、部分給付の実務も困難だと主張した。公的支援継続の責務と歳出規律の線引きが主要な争点となっている。
訴えを主導したのは民主党が主導する州やワシントンDC、自治体・非営利団体の連合で、行政手続法に基づき「恣意的かつ違法」と主張する。州司法長官の文書は、USDAが州機関に11月給付データの送信保留を指示した経緯や、予備資金の存在を詳述している。
影響と今後の焦点
現時点で確認されている範囲では、給付の時期や水準は州ごとのシステム対応に左右され、即時に満額が行き渡る保証はない。EBT再入金には数日から1〜2週間の調整を要するとの見立てもある。政府は部分給付の運用負荷を訴えるが、司法は「資金を動かす具体策」を早期に示すよう求めている。
数字でみる今回の判断では、受給対象は約4,200万人規模、SNAPの月次コストは約85〜90億ドルとされる。他方で予備資金は約52億〜60億ドル、さらに約230億ドル規模の別基金の活用可能性にも言及があった。政府は11月3日までに実施計画を報告する必要がある。
USDAは先週、ウェブ上で「11月1日の給付は発行されない」との見解を示していたが、今回の司法判断で姿勢の修正を迫られる。もっとも、DOJが不服申し立てに動く可能性や、政治交渉の停滞が長引く懸念は残る。制度の安定には、議会による早期の歳出合意がやはり不可欠だと映る。
