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ケニア外務省は2025年11月12日、ロシアの徴兵活動がケニア人にも及び、200人超がロシア軍に参加した可能性があると発表した。偽の求人を装う勧誘が戦闘への通路となり、ナイロビ近郊では救出事案や負傷報告も出た。海外就労の期待が戦場と隣り合う現実が浮かぶ。
偽求人が開く“戦場”への通路
声明は、募集機関が「就労」と称して若者を引き寄せ、渡航や宿泊、ビザ費用として最大1万8000ドルが提示される事例を示した。モスクワの大使館記録には負傷者の報告があり、在ナイロビのロシア大使館は照会に応じていないという。国境をまたぐ勧誘は、就職と戦地の境目を巧妙にぼかす。
治安当局がナイロビ近郊の拠点を急襲した場面では、戦闘地への派遣に向けて準備中だったとされる人々が救出され、関係者1人が逮捕・起訴された。彼らは、ドローンの組み立てや化学薬品の取り扱い、塗装作業などの「非戦闘任務」と説明されていたと語る。仕事の名称は平時の技能に似せられ、実態は戦場に近い。
外務省は「徴兵ネットワーク」という言葉で、国内外のあっせん業者や仲介者の連なりを指し示した。職業紹介や渡航手続きの助言を装いながら、契約兵の締結や移動を支える非公式の管路が形づくられる。個々のルートは細くとも、束ねられると強い流れになる。
広がる勧誘、背景にある脆弱さ
戦闘が長期化するなか、海外での好条件をうたう求人は、若年層の将来不安や家計の重圧に入り込む。オンラインの募集告知は見栄えがよく、連絡は早い。だが職務内容や勤務地の説明は曖昧で、渡航後に訓練へ誘導される構図が指摘される。見抜きづらさが、被害の裾野を広げる。
救出者の証言が示すのは、「非戦闘」をうたう職務名の落とし穴だ。ドローンの保守や資材の塗装といった言葉は平時の労働を連想させるが、実際には前線近傍の任務や軍事組織への組み込みに直結する場合がある。名目と実態の距離が、意思決定の自由を奪う。
政府は注意喚起を強め、渡航前の情報提供や職業紹介の認証徹底を進めている。海外就労に関する相談窓口の周知や、契約文面の点検、緊急時の連絡経路の確保は、具体的な抑止策になるとみられる。民間の仲介市場が大きいからこそ、公的な安全網の目詰まりを減らす必要がある。
数字が語るもの、静かな警鐘
ウクライナ側は先週、欧州の一部やアフリカからの参加者が計1400人超にのぼると指摘し、勧誘の手口を「死を招く契約」に等しいと警告した。帰還支援に動く国も出ており、戦地で立ちすくむ若者の声は各地で報じられている。数字は、広がる勧誘の地図を描く仮の線にすぎない。
ケニアの事例は、非正規な人材ビジネスと戦争経済が接する継ぎ目を照らす。雇用の約束、旅費の立替え、迅速な手配—魅力的な言葉が重なるときほど、確認は丁寧でありたい。静かな警鐘は、出発前の机の上でこそよく響く。