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2025年10月24日、官邸での記者会見。中国の軍事力拡大が宇宙やサイバー、電磁波の領域に広がるなか、木原官房長官が「透明性を欠く」と指摘し、動向を注視する考えを示した。新しい戦い方への対応を課題に挙げ、安保関連3文書の改定方針を踏まえた見直しを進める姿勢を強調した。
透明性欠如と“新しい戦い方”への警戒
官邸の会見室に記者のペン先が走る音が重なった。木原官房長官は、中国が宇宙・サイバー・電磁波の領域を含めて軍事力を急速に増強していると述べ、十分な説明が伴っていない現状に懸念をにじませた。発言には、静かながらも警戒の色が宿る。
「中国は十分な透明性を欠いたまま、宇宙・サイバー・電磁波の領域を含め、軍事力を広範かつ急速に増強している」。同長官はこう語り、「我が国としても中国の動向については引き続き関心を持って注視していく」と強調した。視線は新しい戦い方の現実へと向く。
宇宙やサイバーでの攻防、ドローンなど無人兵器の活用を伴う攻撃。長官は、こうした様相の変化が今後の防衛力構築にとって大きな課題だと指摘した。統合運用の設計、装備調達、人的基盤の再構築まで、従来の延長では届かない領域が浮かぶ。
一方で、習近平国家主席や李強首相ら中国要人からの高市総理就任への祝電の有無は明らかにしなかった。外交上の往復に踏み込まない応答が続き、緊張感と距離感の双方をにじませる場面となった。
宇宙・電磁波の現実と政策の針路
防衛白書は、中国が官・軍・民の連携のもと宇宙活動を活発化させ、衛星測位「北斗」を軍事運用に生かしつつ、対衛星能力の開発を進めていると指摘してきた。宇宙・サイバー・電子戦を担う戦略支援部隊の存在も挙げ、能力の統合が進む実像を描いている。
宇宙ステーション「天宮」の完成や度重なる「遥感」衛星の打ち上げはその象徴だ。破壊的な衛星破壊兵器に加え、地上配備型レーザーや宇宙ロボットなど多様な妨害手段の取得が続くとの見方も示される。軍用衛星の運用数が米国を上回るとの指摘もあり、量の面でも圧力が増している。
こうした環境認識の延長線上に、木原氏の発言が置かれる。長官は、高市総理が打ち出した安保関連3文書の改定方針を踏まえ、宇宙・サイバー・電磁波を含む新領域への対処力をどう磨き上げるかに「しっかりと取り組む」と語った。政策の針路は、静かにだが確実に更新を迫られている。
透明性を欠く相手のスピードに、どの程度まで追随し、どこから先を読むのか。技術、産業、外交をどう束ねて抑止と安定を形づくるのか。会見室を出た廊下の空気はひんやりとしていたが、議論の温度はこれから上がっていくとみられる。
