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北朝鮮の金正恩総書記が、韓国で進む米軍の軍備増強に対抗し「特殊資産」を主要目標に向けて配備したと発言した。2025年10月5日に国営通信が伝え、前日開幕の兵器展示会での演説での言及である。9月には日米韓が共同訓練を重ねており、抑止と示威がせめぎ合う構図が濃くなっている。
平壌の展示会で何が語られたのか
照明に浮かぶ兵器の列を背に、金総書記は演壇に立ち、米韓の「核同盟」が急速に進展していると警鐘を鳴らした。2025年10月4日に平壌で始まった兵器展示会の開会式での演説で、各種演習が「危険なシナリオ」を実行する段階にあると受け止めたとし、緊張感を強くにじませたとみられる。
発言の核心は「特殊資産」の配備である。米軍の韓国における装備増強に比例して戦略的懸念が高まったと述べ、主要目標に対して当該資産を配したと強調した。ただ、特殊資産が何を指すのかは明らかにしていない。国境を越えた軍事動向を注視しているとの一文を添え、相手の計算を揺さぶる意図が透ける。
北朝鮮は従来、米韓や日米韓の演習を「侵略の予行演習」と断じてきた。他方、米韓側は防衛目的だと繰り返している。今回の言及は、その認識の溝を改めて浮き彫りにする。誰に有利なのか。曖昧さを残す表現は抑止の一手とも、偶発の危うさを孕む布石とも映る。
同盟の訓練が映す現実
9月半ば、日米韓は共同訓練「フリーダム・エッジ25」を実施した。期間は2025年9月15日から19日。会場は防衛省市ヶ谷地区、東シナ海とその上空、さらに参加部隊の所在地域に広がった。目的は複数領域での相互運用性の向上であり、昨年6月の初回から数えて今回が3回目だと整理される。
訓練には統合幕僚監部や統合作戦司令部に加え、自衛艦隊、航空総隊、航空支援集団、サイバー防衛隊の要員約700名が関与した。艦艇は「ひゅうが」「はぐろ」、航空はP-1、SH-60K、F-15、E-767、KC-767、KC-46Aなどが名を連ね、海・空・後方・サイバーを貫くシナリオが組まれたとみられる。立体的な訓練像が浮かぶ。
朝鮮半島の周辺で、米韓日が練度を高める一方、北朝鮮はそれを牽制の材料に使う。韓国には長年、数万人規模の米軍が駐留しており、連携の枠組みは厚みを増している。北朝鮮が「核同盟」と表現するのは、日米韓の抑止アーキテクチャが段階を上げつつあるという認識ゆえだろう。緊張の梯子をどう管理するかが問われている。
「特殊資産」の正体は何か
現時点で確認されている範囲では、特殊資産の具体像は示されていない。過去の示威行動や装備公開の流れからは、短距離弾道ミサイルの改良型、長射程砲や無人機群、潜水艦発射能力、指揮統制の分散化など、複数の選択肢が想起される。ただし断定はできず、むしろ曖昧にすること自体が効果だとも言える。
兵器展示会という舞台設定も見逃せない。国内向けには技術進展と体制の求心力を誇示し、対外的には「必要ならば即応する」というメッセージを放つ。演説で「主要目標」を強調したのは、相手の重要拠点に照準を合わせうる能力を示唆しつつ、具体的な閾値は伏せる二重のサインと映る。
一方で、日米韓の訓練サイクルは今後も続く。片側の強化が他方の警戒を呼び、それが次の手を促す循環が強まっている。偶然か必然か。発言と演習が互いの鏡像のように重なり始めたいま、言葉と装備が作る現実を冷静に読み解く必要がある。北朝鮮が言う「国境を越えた動向」を、私たちも注視したい。