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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が、2025年の「成果」として海外で展開された軍事作戦への兵力派遣を誇示した。朝鮮中央通信によれば、金氏は今週の朝鮮労働党重要会議で、こうした活動が軍の名声を高めたと強調し、ロシア支援などを含む1年の実績を総括したうえで、来年初めに予定される第9回党大会に向けて5カ年政策計画が本格的発展の段階に入ったと位置づけた。
ロシア戦争への関与を「名声」とする軍事路線
今回の発言は、北朝鮮指導部が自国兵士の海外展開を公然と成果として語った点で重い意味を持つ。金氏は、さまざまな部隊が海外の軍事作戦に参加し、軍の威信を示したと評価した。背景には、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、砲弾やミサイルだけでなく兵士そのものをロシア側に送り込んできたとされる実態がある。両国首脳は相互防衛条約を結んでおり、北朝鮮は「同盟国防衛」を掲げて関与を正当化している。
2025年夏には、ロシアで戦闘に参加したとされる北朝鮮兵士に対し、金氏が勲章を授与し「英雄的」とたたえたと複数の海外メディアが報じた。韓国側の分析では、ロシア西部クルスク州などに最大6000人規模が派遣された可能性があるとされるが、人数や任務の詳細は公表されていない。これまで弾薬供給など間接的支援が中心だった北朝鮮が、人的戦力を前面に出すのは異例であり、軍事協力を一段と質的に深めた格好だ。
ただ、その「成果」が誰にとってのものなのかは分かれうる。前線に送られる兵士や家族にとっては、遠い他国の戦争で命の危険にさらされる負担が現実となる。一方、国家宣伝では、海外戦場での戦いが「不敗の軍隊」の証しとして描かれ、経済制裁で孤立する中でも強力なパートナーを得たという物語が前面に出る。国際社会からの非難と、国内での高揚した戦争イメージとのギャップが広がるほど、実態をうかがうことは難しくなっている。
党大会と5カ年計画 国内向けに示す「突破口」
金氏は同じ場で、国家の5カ年政策計画が2025年に「境界を突破し、本格的発展へ向かった」と総括した。この計画は経済や農業、軍備の近代化を包括する中期方針とされるが、新型コロナ対策による国境封鎖や国連制裁により、生活物資や外貨は慢性的に不足してきた。それでも指導部は、ミサイル開発や軍事分野の前進、ロシアとの協力拡大を「成果」と位置づけ、来年初めの党大会で一体的なストーリーとして強調しようとしている。
ロシアとの軍事協力は、安全保障面だけでなく経済面の梃子としても使われているとの見方が有力だ。エネルギーや食料、工業部品の供給を得る見返りに、弾薬や労働力を提供している可能性が指摘されている。国営メディアは自給自足と自立の強化を繰り返し訴える一方、一般市民の暮らしでは電力不足や物価高が続く。海外戦争への関与は、こうした不満を「国家の大義」の陰に押し込み、耐乏を正当化する装置としても機能しているようにみえる。
同時に、兵士の海外派遣は国際秩序側から見れば、対ロシア制裁網への正面からの挑戦であり、朝鮮半島と東アジアの安全保障リスクを一段と高める行為でもある。韓国や日本、米国は、北朝鮮が戦場で実戦経験と外貨を蓄えるほど、今後の挑発が計算しづらくなると警戒する。金氏が党大会でどこまで海外作戦を誇示するのか、その演出ぶりは、北朝鮮が「外に向けた力の誇示」と「内向きの正統性固め」をどのように両立させようとしているのかを測る手掛かりとなりそうだ。
