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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が、向こう5年にわたりミサイル開発を続ける方針をにじませた。国営メディアの朝鮮中央通信（KCNA）が2025年12月26日に報じた。金氏は2025年の第4四半期に主要軍需企業を相次いで訪れ、軍需企業の近代化に関する文書案を、2026年初頭に見込まれる党大会へ提出する形で批准したという。
「5年」は周辺国にとって警戒の時間割になる
今回のポイントは、個別の新型兵器よりも「5年」という時間軸だ。KCNAによると金氏は、ミサイルと砲弾の生産部門が抑止力の中核だと位置付けた。抑止力とは、相手に攻撃を思いとどまらせる力という意味で、言い換えれば平時から工場の稼働を上げて備える発想が前面に出た。近隣国側は、警戒監視や迎撃態勢の維持が「一過性の緊張」ではなく、計画的な長期戦に変わる。
象徴的なのは、同じ時期に核動力潜水艦の建造現場視察や、長距離地対空ミサイルの試射が伝えられている点だ。水上艦や潜水艦、地上配備の防空までを並行させれば、危機時の選択肢が増える。日本海側で演習や発射情報が出るたび、自治体のJアラートや航空・船舶の運航判断に影響が及ぶ可能性もある。数字としての「5年」は、現場にとって繰り返しの負担として積み上がる。
党大会の「文書批准」は、開発の持久力を工場で固める合図
金氏が批准したのは、主要軍需企業の近代化に関する文書案だ。党大会は、国の開発計画を5年単位で決める政治日程で、今回は2026年初頭に開かれる見通しとされる。KCNA報道を踏まえ、韓国メディアはミサイルや砲弾の生産能力拡大、新たな軍需工場の建設計画にも言及している。研究開発だけでなく、量産を支える設備更新や工場新設を、党の決定事項として固定化する狙いが透ける。
工場中心の「近代化」は、兵器の質を上げるだけでなく、部材調達や人員配置、稼働率といった地味な持久力の話でもある。党大会を前に「やり切るべき課題」を社会全体に促す論調も出ており、達成目標の提示は動員の根拠になりやすい。生産ラインの照明の下で作業者が工程を詰める光景の裏で、資源配分が民生を圧迫しないのかという問いも残る。5年計画が示すのは、開発の勢いだけでなく、長く続ける仕組みをどう作るかだ。
参考・出典
- North Korea's Kim Jong Un signals continued missile development next 5 years
- North Korea's Kim Jong Un views submarine construction, oversees missile launch, KCNA says
- North Korea's Kim calls for expanding missile, shell production capacity
- North Korea urges completion of ruling party projects ahead of key party congress
- North Korea’s Kim says missile production ‘of paramount importance,’ orders new munitions plants in 2026 | Malay Mail
