キオクシア、InGaZnOで高積層チャネルトランジスタを実証

キオクシア、3D DRAM実用化へ前進 8層積層技術を発表

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キオクシアは2025年12月12日、高密度かつ低消費電力の3D DRAMを現実の製品に近づける基盤技術として、酸化物半導体InGaZnOを用いた「高積層可能なチャネルトランジスタ」を開発したと発表した。米サンフランシスコで開かれたIEDM 2025で、トランジスタを8層に積んだ構造の動作確認まで示したという。AIサーバーの電力コストが注目される中、メモリ側の“待機電力”をどこまで削れるかが次の焦点になる。

リフレッシュ電力の重さが、現場の設計を縛る

DRAMはデータ保持のために「リフレッシュ」と呼ばれる定期的な再書き込みが必要で、容量が増えるほど維持にかかる電力も重くなる。キオクシアはこの点に、酸化物半導体の“漏れにくさ”をぶつけた。今回示した横型トランジスタは、オフ電流が1aA未満(10^-18A)とされ、リフレッシュに要する電力を抑えられる見込みだとしている。

同社が狙う用途はAIサーバーだけではない。小型機器ではバッテリー持続時間、産業用途では熱設計と保守コストが支配的になるため、メモリ側の消費電力は「性能の天井」を決めやすい。オン電流は30μA超を示したとしており、単に漏れを減らすだけでなく、動作に必要な電流も両立させた点を前面に出した。低消費電力化が性能競争の“別ルート”になる可能性がある。

3D化の壁は、微細化より「積むコスト」にある

DRAMは微細化が物理限界に近づくにつれ、容量を稼ぐための3D積層が研究テーマになってきた。ただ、従来DRAMと同じ単結晶シリコンを積層セル側の材料に使うと製造負担が膨らみやすい。キオクシアは、成熟したシリコン酸化膜とシリコン窒化膜を積み上げ、窒化膜領域をInGaZnOへ置き換える工程で、横型トランジスタを多層に形成する手法を提示した。縦方向の寸法(ピッチ)を詰めやすい3Dメモリセル構造も合わせて提案している。

発表の場となったIEDM 2025は12月6日から10日までサンフランシスコで開催され、同社は現地時間12月10日に内容を示したとしている。背景には、2024年にNanya Technologyと共同でOCTRAMと呼ぶInGaZnOトランジスタDRAM技術を公表していた流れもある。今回の「8層動作」は、3D化を“構造提案”から“積層実証”へ進めた節目に見える。残る問いは、量産での歩留まりや信頼性をどう確保し、いつ現場の調達選択肢として現れるのかだ。

参考・出典

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