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秋雨の気配を残す県庁の記者クラブに、携帯の通知音が重なった。公明党が2025年10月10日、自民党に連立政権からの離脱方針を伝えた。26年続いた枠組みが揺らぐ知らせは、選挙の現場を直撃する。神奈川県政界では、連携の再設計と足元の地盤の見直しが急務になるとの空気が広がっている。
県政界を走った冷たい風
2025年10月10日、都内での党首会談を経て、与野党の力学は一気に緊張した。県庁周辺では、与党間のパイプで支えてきた案件の行方を案じる声が相次いだ。公明側では、国政の不信を断ち切る転機と受け止める向きがあり、決断を前向きに評価する空気もにじむ。一方で、地域の協力体制の維持が課題として浮かぶ。
自民側には、長年の選挙協力で築いた地縁や後援会ネットワークに波紋が及ぶとの見立てが広がる。とりわけ都市部の接戦区では、わずかな支持の揺らぎが当落を左右する。これまでの関係が直ちに途切れるわけではないとの楽観論もあるが、支援の熱量低下を警戒する声は根強いと映る。
県内の与党系議員は、地元案件の調整窓口や国との連携ルートを再点検し始めた。推薦や応援の順番、合同演説の組み立てまで、見直しが要る。現場の実務では、対立を避けつつ成果を取りにいく“距離の取り方”が鍵になる。政治の節目が、地域の段取りにも静かな影を落としている。
選挙協力の計算が揺れる神奈川
県内の小選挙区は広く、組織的な票の動員が勝敗を左右してきた。関係者によれば、公明党の支持母体である創価学会の組織票は、１小選挙区あたり１万〜２万票規模との見方がある。過去の衆院選でも、公明は候補者を立てない区で自民候補の支援に回り、接戦区での“最後の数千票”を積み上げてきた経緯がある。
今回の離脱方針が選挙協力の実務に直ちに影響するかは流動的である。現時点で確認されている範囲では、国政レベルの関係見直しが先行し、地方の個別協力は当面、地域事情に委ねられる可能性が高い。とはいえ、次の国政選をにらむ候補者は、地元組織との対話を加速させ、陣営設計の再点検を迫られている。
神奈川では、過去の小選挙区で２万票前後の差に収まる接戦が珍しくない。郵便・期日前の積み上げや当日の動員計画まで、精密な設計が勝敗を分けてきた。連立の枠外で票がどこへ流れるのか。推薦や相互支援の有無は、候補者の立ち位置や争点設定に直接響くとみられる。
自民・公明、距離の取り方
自民党の高市総裁はこれまで、連立維持を基本とする考えを強調してきた。しかし、2025年10月10日の党首会談後、関係の持ち方そのものが再定義される局面に入ったとみられる。公明側では、政策実現を最優先に、対立を深めない距離感を模索する姿勢がにじむ。与党の座にこだわらない発信が続く格好だ。
一部報道によれば、2025年10月9日には、公明の赤羽中央幹事会長が「閣外協力」の選択肢にも言及した。国会運営や予算審議の局面で、法案ごとに賛否を判断する柔らかな連携が浮かぶ。県内の首長や議会与党にとっては、案件ごとに相手を選ぶ“実務の知恵”が問われる。地域課題の解決にどう橋を架けるかが鍵になる。
また、一部報道では、臨時国会の召集が20日か21日と伝えられている。首班指名や所信表明をめぐる攻防の前に、与野党の布陣が定まるのかは不透明だ。県内与党は、国政の節目と地元案件のスケジュールを重ね合わせながら、当面の協力と対立の線引きを探る時間に入っている。
