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秋の国会を前に、長年の連立相手から距離を取った公明党が揺れている。自民党と日本維新の会が連立を見据えた政策協議を動かす一方、立憲民主・国民民主に歩み寄り、野党色を強めていると映る。ただ、政府・与党案件には是々非々で臨む構えも残し、進路はなお定まらない。政府は2025年10月15日に臨時国会の召集方針を決定しており、公明の初動が政局の行方を左右しそうだ。
揺れる足取りが映すもの
肌寒い国会の回廊で、2025年10月17日、斉藤鉄夫代表が立憲民主党の野田佳彦代表と向き合った。一部報道によれば、21日召集見通しの臨時国会に企業・団体献金の規制強化法案を国民民主とともに提出することで歩調を合わせ、外国人受け入れでは「規制と共生」の方向性を共有したという。かねて継続審議の選択的夫婦別姓の実現でも、前進を目指す姿勢が示されたと伝わる。
別姓の扱いについて、斉藤氏は推進の大枠を認めつつ細部での調整が要るとの認識を示したとされる。野田氏は公明の「腰を上げた」姿勢を評価したとの見方が広がり、与党に身を置いてきた時代に封印してきた政策群へ、公明が一歩踏み出した場面が浮かぶ。長年の凝りをほぐすような会談だったといえる。
ただ、首相指名の決選投票での協力要請には公明が応じなかったとも報じられ、野党との急接近と同時に距離感も残した。野党入りをにおわせつつも、即断は避ける構図である。二十年以上の与党生活を経た党が、新たな立ち位置を模索する過程の逡巡がにじむ。
自民・維新の急接近と計算違い
一方で、自民と維新が連立を視野に政策協議を始めたとされる動きは、公明の想定を狂わせた。議論項目には公明が消極的とみられてきた「副首都」構想や、国会議員の定数削減が浮上したとの報がある。とりわけ比例代表の削減論は、比例票を柱にしてきた公明にとって痛手になりかねず、斉藤氏は比例だけを狙い撃ちにする削減には反対と異議を示したと伝わる。
公明は同17日、国民民主との政調会長・国対委員長会談も開き、ガソリンの暫定税率廃止など生活直結の課題での連携を確認したとされる。野党寄りの舵に見えるが、補正予算や来年度予算への態度では慎重論が根強い。財源や物価高対策など現実の政策執行に向き合えば、真っ向からの対決路線は選びにくいという本音もうかがえる。
自民・維新の急接近で「与党に残る余地」を前提にした公明の計算は揺らいだ。連立離脱後も一定の協力関係を保つシナリオは後景に退き、立民・国民との新たな軸づくりが加速する。ただ、その動きが自民支持層との接点や地域組織への影響を広げる恐れもあり、足元の政治基盤をどう守るかという難題が重くのしかぶ。
連立離脱の先にある「現実」
「連立から勝手に出たように見える」。党幹部のぼやきが報じられる一方で、立憲側は公明の“野党入り”を歓迎し、国民民主と三党で物事を進めたいと意気込む声が出る。期待と戸惑いが交錯し、当面は是々非々の審議対応で間合いを計る展開が続きそうだ。揺れを抱えた対話の連鎖が、永田町の日常になっている。
政府は2025年10月15日に臨時国会の召集方針を決定しており、一部報道では21日召集が取り沙汰される。企業・団体献金の規制、夫婦別姓、暫定税率など、論点は生活と政治資金の双方にまたがる。現時点で確認されている範囲では、公明の一挙手一投足が与野党の力学を変える可能性が高い。最初の一票が、次の同盟関係をかたちづくるかもしれない。
分岐点は長い。生活者の実感と国会の数の論理のはざまで、公明はまだ目的地を言葉にできていないように映る。連立復帰の余地を残すのか、新たな同盟に踏み込むのか。議事堂の時計が進むたび、選択の重みが増している。
