経済多角化を加速　クウェート、港湾整備で中国と大型合意

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2025.12.25

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産油国クウェートが経済多角化を急ぐなか、ブビヤン島で建設中のムバラク・アル・カビール港を巡り、中国側と約40億ドル規模の契約を結んだ。国営メディアによれば、2025年12月22日の調印式にアハマド首相が出席し、貿易とサプライチェーンでのクウェートの存在感を押し上げると語った。

港の完成が近づくほど、物流の「待ち時間」がコストになる

今回の契約は、設計・調達・建設を一括で請け負うEPC方式で港の整備を進める枠組みだ。Reutersは、中央入札機関が12月1日に第1期の契約を承認し、金額は約39億7000万ドル規模だと報じた。港の設備が積み上がるほど、輸入品が岸壁で滞留する時間や、コンテナの積み替え待ちといった「見えにくいコスト」が、企業の収益に直結する場面が増える。

一方で、港は完成しても、使われなければ多角化の数字にはならない。島と本土をつなぐ道路や将来の鉄道網、通関手続きの簡素化、24時間稼働の運用体制がそろって初めて、船社や荷主は「寄港する理由」を持つ。現場では、コンテナが動く速さだけでなく、工期の遅れや追加費用がどこに跳ね返るのかが、じわりと関心事になりそうだ。

対中協力の「象徴」から、稼ぐ仕組みへ移せるか

調印式には、公共事業省とChina Communications Construction Company (CCCC)が並び、KUNAは公共事業相ヌーラ・アルマシャーン氏とCCCC幹部チェン・ジョン氏が署名したと伝えた。中国側は一帯一路に結び付ける姿勢を示し、クウェート側は貿易の結節点としての役割拡大を掲げる。2023年に両国間で複数の覚書が交わされた流れの中で、今回の大型契約は「計画を工事に落とす」段階に入った形だ。

ただ、港湾整備がそのまま国家の稼ぐ力になるわけではない。料金体系や規制の透明性、民間投資を呼び込む運営モデルなど、完成後の設計が成否を分ける。周辺国でも大型港湾の整備が進む中で、どの貨物を狙い、どの産業と結び付けるのかが問われる。クウェートの多角化は、建設契約の次に来る「運用の意思決定」で試される。

港の完成が近づくほど、物流の「待ち時間」がコストになる

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