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党本部前に詰めかけた記者のシャッター音が響くなか、自民党は2025年10月7日、臨時の総務会で新体制の顔ぶれを固めた。四役は、幹事長に鈴木俊一、総務会長に有村治子、政調会長に小林鷹之、選挙対策委員長に古屋圭司という布陣である。麻生太郎は副総裁に就き、執行部の重心をどう置くのかがにわかに立ちのぼる。人事は政策と選挙の舵取りに直結し、政権与党の今後を映す鏡となる。
四役の顔ぶれににじむ力学
2025年10月7日、党の臨時総務会で役員人事が正式に決まった。四役は、幹事長に鈴木俊一、総務会長に有村治子、政調会長に小林鷹之、選挙対策委員長に古屋圭司という構成である。前日夜の段階で内定の情報が示され、7日の決定で最終形が確定した格好だ。あわせて麻生太郎が副総裁に就き、執行部の骨格が整ったとみられる。
顔ぶれをみると、選挙と政策の車輪をどう噛み合わせるかが浮かぶ。古屋圭司は国家公安委員長などを歴任し、今回の総裁選では高市新総裁の推薦人代表を務めた近しい存在だ。一方、小林鷹之は総裁選を争った当事者であり、政策の議論を執行部内に取り込む配置とも映る。総務会長の有村治子は意思決定の関門で議論を束ねる役回りを担う。
周辺ポストでは、国会対策委員長に梶山弘志、広報本部長に39歳の鈴木貴子を起用する方針が示されている。国会運営の要と発信の刷新を同時に進める狙いが透ける布陣であり、来る臨時国会や選挙日程をにらんだ実務の積み上げが急がれる。若手の抜擢と経験値の配置をどう両立させるかが、初動の試金石になりそうだ。
麻生色と多様性、配置が語るメッセージ
四役のうち、鈴木俊一と有村治子はいずれも麻生派に所属する。加えて麻生太郎が副総裁に就いたことで、執行部の要所に「麻生色」がにじむ構図だ。派閥バランスの観点では、半数が麻生派という並びが決定過程の影響力を物語る。他方で、政権の安定運営には幅広い合意形成が不可欠であり、四役それぞれの連携の質が試される局面が続くとみられる。
女性登用に目を向けると、四役に女性は有村治子の1人である。もっとも、広報本部長には39歳の鈴木貴子が起用され、刷新的な語り口やデジタル発信の厚みが増す可能性がある。世代とジェンダーの配置をどう広げていくのか。偶然の産物なのか、必然のメッセージなのか、次の内閣改造や党人事が問われるたびに注目が集まるだろう。
総裁選で高市総裁を支えた古屋圭司が選挙対策の司令塔に入った意味も小さくない。推薦人代表として見せた求心力を、候補者調整や資源配分の現場にどう落とし込むのか。小林鷹之の政調会は政策づくりの中枢であり、選対の実務と噛み合えば、選挙と政策の相乗効果が期待できる。逆にずれが生じれば、党内の摩擦を生む要因にもなりうる。
政権運営へ、何が問われるか
新体制の最初の関門は予算編成と国会運営である。政調会・総務会・幹事長の三角形で政策と政治を往復させ、選挙対策がそれを下支えする形が描けるかが鍵だ。財政や物価、社会保障の負担と給付の見直しなど、重たい論点が横たわる。市場や有権者が注目するのは、メリハリのついた支出と規律の均衡、その説明の丁寧さである。
国対の梶山弘志は与野党交渉の最前線に立つ。政権与党として合意形成をどう積み上げるのか、法案処理の優先順位をどう組み替えるのかで、初動の評価は大きく変わる。広報の刷新と並行して、意思決定の透明性を高められるか。内向きの手当てと外向きの発信、その両輪が噛み合えば、求心力の回復に近づくはずだ。
四役のうち半数を麻生派が占める現実は、意思決定のスピードとバランスの両面で注目を集める。派閥の力学を超えて合意を束ねられるのか、それとも硬直が顔を出すのか。新体制が走り出した7日、足元の人事が投げかける問いは重い。次の選挙の時期と勝ち筋、政策の優先順位の組み替え、その一つひとつに執行部の資質が刻まれていく。
