リトアニア政府 ベラルーシ気球密輸で緊急事態宣言 軍に追加権限付与へ

リトアニアが緊急事態 ベラルーシ発「密輸気球」が空港運用を妨害

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リトアニア政府は9日、隣国ベラルーシから飛来する気球によるたばこの密輸と航空の混乱が公共の安全を脅かしているとして、全国に緊急事態を宣言した。気象観測用とされる気球が大量のたばこを積んで国境を越え、首都ビリニュスの空港を繰り返し閉鎖に追い込んできたためだ。政府はこれを単なる密輸ではなく、安全保障を揺さぶる「ハイブリッド攻撃」の一形態とみて、軍に追加権限を与える方針を打ち出した。

相次ぐ空港閉鎖、足を奪われる市民と企業

ここ数か月、ベラルーシ側から放たれたとされる気球は、ビリニュス国際空港だけでなく、第2の都市カウナスの空港にもたびたび飛来し、離着陸の一時停止や便の迂回を余儀なくしてきた。ある週末には数十個の気球が空港周辺の空域に入り込み、およそ30便が欠航または他都市への振り替えとなり、数千人の乗客が夜通し足止めされたと報じられている。

リトアニア当局によれば、今年に入って確認された密輸気球は約600機、あわせて侵入したドローンも200機に達し、300便超のフライトに影響が出た。合計で約4万7000人の乗客が影響を受け、空港閉鎖の延べ時間は60時間前後に上るという。空港では安全確保を優先して運航停止を決めざるを得ず、そのたびに観光客だけでなく出張中のビジネス客や乗り継ぎ客が行き場を失う事態が続いた。

地上でも、国境に近い道路や検問所が一時的に閉鎖され、物流トラックの滞留や配送の遅延が発生している。政府は10月以降、一部のベラルーシ国境検問所を閉鎖したり再開したりと、状況に応じた対応を繰り返してきたが、気球の飛来範囲は風向き次第で国内広域に及ぶ。このため、市民生活や企業活動への影響を限定しつつ、どこに現れるか分からない気球への対処能力をどう高めるかが、今回の緊急事態宣言の大きな焦点になっている。

密輸道具から『攻撃手段』へ 政府が見る安全保障リスク

リトアニア政府は、気球を使ったたばこ密輸そのものよりも、それが国家ぐるみの圧力手段に転じている点を警戒している。気球は表向き気象観測用だが、実際には安価なベラルーシ製たばこをEU域内に運び込む経路として使われてきたとされる。ビリニュスは、ベラルーシ当局がこの密輸を黙認し、気球が民間航空の安全を繰り返し脅かしていると非難し、「ハイブリッド攻撃」と位置づけている。一方、ベラルーシ側は関与を否定し、むしろリトアニアが挑発していると反論しており、責任の押し付け合いが続いている。

今回の宣言によって、軍は警察や国境警備隊と連携し、必要に応じて独自に行動できる権限を得る見通しだ。内務相は、軍が人や車両の検査、立ち入り制限、作業の一時停止命令などを行えるようにする法改正案を国会に提出し、最長3か月の特別措置を想定していると説明した。ただし、一般市民の日常生活に大きな制限をかけることは想定しておらず、措置は「狙いを絞ったもの」にとどめると強調している。

リトアニアがベラルーシをめぐって特別な法的措置を取るのは初めてではない。2021年には中東などからの移民流入が急増した際に国境地帯で緊急事態を導入し、翌22年にはロシアによるウクライナ侵攻を受けて情報戦への警戒から別の緊急体制を敷いた経緯がある。度重なる危機の中で、EUやNATOの東端に位置する小国が、空に浮かぶ小さな気球までも安全保障の一要素として管理せざるを得なくなっている現実は、域内全体の脆弱さと、ロシア・ベラルーシ陣営とのせめぎ合いの長期化を象徴しているとの見方も出ている。

参考・出典

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