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衆院の小会派「改革の会」に属する無所属3人が、自民党の会派に移る方向で調整を進めている。実現すれば、自民党と日本維新の会による与党会派は衆院で過半数の233議席に届き、約1年続いた「少数与党」が一区切りとなる見通しだ。一方で参院では与党がいまだ少数であり、この「数合わせの変化」が国会運営や生活にどんな影響をもたらすのかが焦点になっている。
過半数復活で、国会審議はどう変わるか
今回、自民会派入りが見込まれるのは、日本維新の会を9月に除名されて「改革の会」を立ち上げた3人の衆院議員だ。3人が加わることで、自民・維新による与党会派は合計233人となり、定数465の衆院で単独過半数を取り戻す構図となる。この動きが表面化したのは11月下旬で、政局の流れを大きく変える可能性が指摘されている。
衆院で多数派に戻ることは、政府・与党にとって政策遂行上の意味が大きい。本会議だけでなく多くの委員会で与党が議席の大半を占めることで、法案や予算案を野党の賛成に頼らず可決できる場面が増えるからだ。審議時間や採決の日程も、これまでより与党主導で組み立てやすくなり、政権が掲げる政策パッケージを一体で通しやすくなる。
とはいえ、数の余裕ができても、野党は徹底した質疑や審議拒否などを通じて世論に訴える手段を持ち続ける。与党が採決を急ぎすぎれば「熟議を軽んじている」との批判が高まりかねない。医療や年金、税制といった暮らし直結の法案ほど、スピード重視か、説明の丁寧さを優先するかという判断が、これまで以上に国民の目にさらされることになる。
少数与党の1年が浮かび上がらせたもの
自民党は昨年10月の衆院選と今年7月の参院選で議席を減らし、与党が衆参とも過半数を割り込む事態に直面した。10月には連立の相手を日本維新の会に切り替え、新たな与党枠組みを組んだものの、数字の上では「少数与党」の状態が続いてきた。小選挙区制と比例代表制を組み合わせた現在の選挙制度のもとで、政権党が選挙結果次第で一気に立場を弱めうる構造が改めて浮き彫りになったといえる。
過半数を失ったこの1年、政府・与党は主要法案ごとに野党側の一部会派や無所属議員の協力を取り付ける必要があった。法案の修正や附帯決議などを通じて、野党の主張が一部盛り込まれる局面が生まれる一方、成立の見通しが読みにくくなり、官庁や自治体の現場ではスケジュール調整の負担が増したと指摘されている。少数与党期は、対立と妥協の線引きを与野党双方に迫る時間でもあった。
長く続いた公明党を含む従来の与党体制では、衆参とも与党が安定多数を維持し、「最終的に法案は通る」という前提で政治日程が動いていた。今回の経験は、その前提が崩れた場面で何が起きるのかを可視化したともいえる。再び衆院での数の優位を手にしようとしている与党が、その経験を踏まえ、どこまで異論を取り込む姿勢を保てるかが問われる局面に入っている。
参院はなお少数、与野党に残る選択肢
今回の合流が実現しても、与党が過半数を握るのはあくまで衆院に限られる。参院では、自民党と維新の会派を合わせても119議席にとどまり、過半数の125議席までは6議席不足したままだ。条約の承認や重要ポストの同意人事など、多くの案件で他党の賛同を得なければ前に進まない状況は続く。
日本の二院制では、予算案は最終的に衆院の議決が優先される一方、一般の法案や条約、機関トップの任命などでは参院の役割が大きい。与党は衆院での多数をテコに政策の骨格を描きつつも、参院での修正協議や採決日程を巡っては、野党や無所属議員との対話を避けられない。結果として、急激な制度変更が抑制される一方で、政策決定に時間がかかり、現場に不透明感を残すリスクも抱える。
今後も、各党は無所属議員の行方や連立の組み替え、さらには衆院解散のタイミングを巡って駆け引きを続けるだろう。与党が取り戻す衆院の過半数を、合意形成を省く道具ではなく説明責任を深めるための力として使えるかどうかが、政治への信頼の行方を左右していく。
