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会見場でマイクに身を寄せたのは、マレーシアのファーミ・ファジル通信相だった。2025年11月23日、同国政府が来年から16歳未満の子どものSNSアカウント開設を禁じる方針を打ち出したと明らかにした。サイバー犯罪やいじめ、性的被害への不安が高まるなか、家庭と学校だけでは支えきれない子どものオンライン生活に、国家として踏み込む決断である。
マレーシアが踏み出す16歳未満SNS禁止
通信相は地元紙が公開した動画で、SNS各社に「来年までに16歳未満へのアカウント開設を認めない」という政府決定に従うよう求めた。施行は2026年を見込み、年内に関連法やガイドラインを整える方針だ。政府と監督機関、保護者がそれぞれの責任を果たせば、高速な回線だけでなく子どもや家族の安全も確保できると強調した。
背景には、サイバーいじめや金融詐欺、児童性的虐待コンテンツなど若年層を狙うオンライン被害の増加がある。ギャンブル広告やヘイトスピーチへの懸念も強まり、政府はここ数年SNS監視を段階的に強化してきた。2025年1月からは利用者800万人超のSNSやメッセージアプリに通信・マルチメディア法に基づくライセンス取得を義務付け、運営側の責任を明確にしている。
議会でも10月に複数の議員が16歳未満の利用禁止計画を支持し、アカウント登録時の年齢確認を徹底する仕組みを求めた。世論も後押ししている。9月公表の「イプソス・マレーシア教育モニター2025」では、回答者の72%が子どものSNS利用を制限すべきだと答え、新たな規制への受け止めはおおむね肯定的だとみられる。
世界で広がる子どもとSNSの距離の取り方
ファーミ通信相が参考にすると語るのが、オーストラリアなど他国の取り組みだ。同国では2024年12月10日以降、フェイスブックやインスタグラム、ティックトックなどが16歳未満とみられるアカウントを削除することが義務付けられ、違反すれば高額の罰金が科される。子どもの健康と安全を守るという名目で、SNS企業に対する責任追及は世界的に強まっている。
欧州でも距離の取り方を探る試みが続く。オランダ政府は2025年、15歳未満の子どもにはSNSアプリを使わせないよう保護者に助言した。一方、デンマーク、フランス、ギリシャ、イタリア、スペインの5か国は、利用者の年齢を確かめて有害コンテンツへのアクセスを防ぐアプリを試験運用し、全面禁止ではなく精緻な年齢確認でリスクを抑えようとしている。
ニュージーランドのラクソン首相も子どものSNS利用制限の必要性を語り、地域全体で議論が広がる中で、マレーシアの方針は比較的踏み込んだものと映る。一方、隣国インドネシアは当初検討した年齢制限を和らげ、プラットフォーム側に有害情報の遮断と年齢確認強化を求める規制にとどめた。禁止と管理のどこに線を引くのかという問いが、子どもたちの日常を静かに形づくり始めている。
