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自民党総裁選が2025年10月4日に迫るなか、市場では“石破ショック”の再演は見込み薄だとの空気が広がっている。仮に小泉進次郎農林水産相が勝っても、相場は政策の中身を丁寧に測り、乱高下よりも持続力を試す段階に移っていると受け止められている。昨年の動揺を経て、投資家の関心は人物より政策運営の手触りへと移っている。
市場が探るのは「再来」ではなく持続力
総裁選は2025年10月4日に投開票され、候補は小泉進次郎、高市早苗、林芳正に加え、茂木敏充と小林鷹之の5人だ。選挙戦は告示から12日間の運動期間を経て終盤に入り、党内外の視線は政策の輪郭と実行力に集中している。
この選挙は、石破茂首相が2025年9月7日に自由民主党総裁の職を辞する考えを示したことに伴う臨時の選び直しだ。石破氏は会見で、党内の責任と手続の明確化を理由に挙げ、後継を速やかに選ぶ判断を自ら示した。
昨年の“石破ショック”は、増税や利上げの連想が先行して売りが広がったが、結果的に短命だったとの評価が市場に根づいた。いまは候補が誰であれ、初動の変動より、予算編成や物価対応の具体策が継続的な評価軸になるとの見方が強い。
去年の急落と今の相場観のちがい
総裁選の翌営業日に株式が大幅に下げた昨年秋、投資家は金融所得課税や法人課税の強化を織り込む動きに走った。円高の進行も重なり、短期のリスク回避が一気に噴き出した構図だったと指摘されている。
一方で、その下げは投機的な過度の反応で一時的だとする声が当時から多く、需給の巻き戻しと政策メッセージの修正で、物色は早々に落ち着きを取り戻した。教訓は、選挙の見出しより運営のディテールが相場を動かすという点に尽きる。
その延長線上で、仮に小泉氏が勝っても、急落の再現度は高くないとの見立てが増えている。改革や規制緩和の打ち出し方次第で、セクター間の物色は分かれるが、指数全体が“ショック”に沈む局面は限定的だと捉える向きが中心だ。
党内力学が映す政策シグナル
今回の総裁選は、国会議員票と党員算定票を同数で合算する方式で行われる。派閥の力学だけでなく、地域の声音が色濃く反映される設計で、候補者の訴え方や政策の具体度が、集票の重みを決めやすい。
市場参加者が注目するのは、当選直後の短い言葉や最初の人事が示す政策の地図だ。歳出と成長投資の両立、エネルギーと防衛の配分、そして日銀との対話の距離感。これらの初期シグナルが、金利と為替を介して国内株の物色対象を素早く塗り替える。
投開票は2025年10月4日。結果が出た直後から、市場は当選者の最初の発言や人事観を見て、物色の矛先を素早く切り替えるはずだ。昨年の経験が残るいま、過度な悲観や楽観を避ける“慎重な強気”が、当面の基調になりそうだ。
