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愛媛県松山市の買い取り店で今年5月、遺品として持ち込まれた拳銃のような物が暴発し、店の仕切り板を貫いた。けが人は出なかったが、28日には愛媛県警が生前に拳銃4丁と実弾を所持していたとして、持ち主だった80代男性を銃刀法違反容疑で容疑者死亡のまま書類送検している。遺族は売却前に警察へ相談しており、どこで危険を止められたのかという問いが残る。
遺品整理から店内事故まで、市民の戸惑い
暴発が起きたのは、松山市内の中古品買い取り店の作業場だ。従業員が、客から「モデルガン」として買い取った銃のうち1丁を手に取ったところ、突然実弾が発射され、金属弾が店内の仕切りを突き抜けて床に落ちた。客はおらず、従業員も無傷だったが、不意の破裂音に現場は凍り付いたという。
問題の銃は、松山市内で暮らしていた80代男性の遺品だった。親族が自宅を片付ける過程で拳銃のような物を見つけ、不安を覚えて県警松山南署に持参した。毎日新聞などの報道によれば、当直の署員は詳しい鑑定や動作確認を行わないまま「モデルガンで問題ない」と判断し、そのまま親族に持ち帰らせ、処分を任せていたとされる。
一般の市民にとって、実物の銃を目にする機会はほとんどない。見慣れない金属製の道具が本物かどうか、素人の目で見分けるのは難しいうえ、戦後間もない時期に入手した拳銃や軍用品が長年押し入れに眠っている家庭もあると指摘される。遺品整理の場は、判断を自分だけで抱え込まず、専門家に委ねたい局面になりやすい。
警察の判断ミスと運用のほころび
ところが今回、頼りにされた側の警察が危険を拾い上げ損ねた。愛媛県警によると、本物かどうか不明な拳銃様の物が持ち込まれた場合は、一度預かって専門部署で鑑定する運用になっている。それにもかかわらず、松山南署の署員はその場の判断で「問題ない」と返却し、受理した記録も残していなかったと説明している。
暴発後、県警は買い取り店から遺品の銃を押収し、改めて鑑定を行った。その結果、発射能力を備えた自動式拳銃が含まれていたことが判明し、男性は5月中旬の時点で拳銃4丁と実弾数発を自宅で保持していたと認定された。県警は11月28日、男性を銃刀法違反容疑で容疑者死亡のまま書類送検し、形式上は故人の違法所持を摘発した形になっている。
一方で県警は「鑑定してから返却の可否を判断すべきだった」として、職員への指導を強めるとコメントしている。レプリカやエアガンの種類が増え、外見だけでは真贋が分かりにくいという現場の事情はあるが、だからこそチェックリストや複数人での確認など、個々の署員の経験や勘に頼らない仕組みづくりが求められる。
見つけてしまったとき、どう危険を避けるか
今回の遺族は、まず警察に相談し、その助言に従って売却という選択をした。それでも結果として危険な銃が市中に流れ、買い取り店の作業場で暴発する事態を招いたことは、「正しい行動を取ったつもりでも守られないのか」という不信感を残す。銃規制が世界的にも厳しいとされる日本でも、運用の隙を突かれれば事故は起こり得ることが示された。
本物かどうか判断に迷う銃や弾薬を見つけた場合、法令上は警察への届け出と引き渡しが原則だ。しかし、遺品整理業者やリサイクル店など現場で物品に触れる人たちには、具体的な対応手順が十分に共有されていないとの指摘もある。自治体によってはパンフレットやウェブサイトで処分方法を案内しており、愛媛のケースはこうした情報提供を全国的に充実させる必要性を浮かび上がらせた。
危険な遺品を前にしたとき、発見者だけでなく、相談を受ける側の組織もまた責任を分かち合う仕組みが求められる。迷ったら必ず回収して専門部署につなぐというルールをどこまで徹底できるかが、次の事故を防げるかどうかの分かれ目になる。静かな遺品整理の現場で、二度と銃声を響かせないための課題はなお多い。
