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クルーズ船が夜の長崎港を離れてからも、岸壁では乗客の行方を追う職員と警察官の姿があった。国際クルーズ船で長崎を訪れていた中国籍の女(54)が、船に戻らず上陸許可の期限を過ぎて滞在したとして、出入国管理及び難民認定法違反の疑いで22日に現行犯逮捕された。観光客として訪れたはずの寄港地で、女性はなぜ足を止めたのか、動機は明らかになっていない。
クルーズ客が戻らず、届け出から逮捕へ
警察などによると、女は21日に国際クルーズ船の乗客として長崎港に到着し、その日のうちに港周辺などを観光できる「船舶観光上陸許可」を受けて上陸した。この許可は、寄港地での短時間の観光を認める代わりに、同じ日付のうちに船に戻ることを前提としている。上陸の期限は21日までとされ、女もその条件に同意したうえで岸に降りたとみられている。
クルーズ船は21日21時ごろに長崎港を出港する予定だったが、乗客名簿を確認したところ、女の姿が見当たらなかったという。船の関係者は港周辺を探したものの見つからず、上陸許可の期限も迫っていたことから、行方不明の可能性があるとして警察に届け出た。海上保安機関や入国管理当局とも情報を共有し、女の足取りを探る捜索が始まった。
翌22日、女は長崎市内で1人で歩いているところを警察官に発見された。上陸許可の期限を過ぎた不法残留状態にあると判断され、その場で現行犯逮捕されたという。調べに対し、女はこれまでのところ黙秘を続け、どこで一夜を過ごしたのか、なぜ船に戻らなかったのかといった点も語っていない。警察は入国管理局と連携し、滞在目的や今後の処遇について慎重に確認を進めている。
増える国際クルーズと水際の課題
長崎港には近年、東アジアを巡る国際クルーズ船の寄港が増えている。とくに春節の時期には、中国発の大型船が相次いで入港し、乗客が「長崎ランタンフェスティバル」などのイベントを楽しむ姿が見られる。地域経済にとっては宿泊や飲食、買い物などの需要を生む一方で、今回のように一部の乗客が定められたルールを守らないケースが起きれば、水際対策や受け入れ態勢のあり方が改めて問われる。
船舶観光上陸許可は、ビザなしで短期の上陸を認める特例として設けられており、出入国管理及び難民認定法のもとで運用されている。許可の範囲を超えて滞在した場合は不法残留となり、退去強制や刑事処分の対象にもなりうる。長崎税関では近年、クルーズ船の旅客による違法薬物の持ち込み未遂事件も摘発しており、港では観光振興と法令遵守の双方をどう両立させるかが課題になっている。
今回の逮捕は、1人の乗客の行動にすぎないともいえるが、多くの人と物が行き交う寄港地の脆さを静かに映し出している。華やかなイルミネーションや観光客でにぎわう街並みのすぐ背後で、警察官や入管職員が地道に確認作業を続ける姿があることも、クルーズ船を受け入れる港の日常の一部になっている。
