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静まり返った解体現場に、束ねられた配線の切り口が残っていたという。石川県七尾市の公費解体中の旅館で、銅線ケーブルおよそ1トンなどが盗まれたとして、トルコ国籍の24歳の男が逮捕された。容疑者は否認。能登の復旧が佳境に入る中、資材管理の隙と治安の目配りの難しさが浮かぶ。
静かな旅館跡地で起きたこと
9月下旬、何者かと共謀して無人の旅館跡地に侵入し、銅線ケーブル約1トンとケーブルカッターなど工具6点を持ち去った疑いがある。被害額は時価でおよそ200万円とされる。現場は公費解体の途中で、工事はその時間帯、休止していた。ひっそりとした足音だけが響いたとみられる。
警察は5日に男へ路上で職務質問を実施し、在留期限がおととしに切れていたことを把握。関係車両から盗品とみられるケーブルなどが見つかったという。一部報道によれば、男はトルコ国籍で自称・名古屋市在住の24歳とされる。足取りや持ち込んだ経路の解明が焦点となっている。
男は調べに対し「盗みはしていない」と否認している。警察は共犯の有無や、同様手口の余罪がないかを慎重に調べているとみられる。夜間や無人時間帯を狙った資材窃盗の疑いであり、復旧工事の現場に緊張が走る。作業員の間では警戒を強める動きが広がっている。
銅と解体現場、価値が交差する
解体現場では、撤去前の電線や設備配線がまとめて仮置きされる局面が生じる。銅は資源価値があり、まとまった量が一度に動くため、管理が一瞬でも緩むと狙われやすい構造がある。残置された束が消えるまでの時間差に、犯罪が入り込む余地が生まれると映る。
現時点で県警の公式公表は確認できていないが、県内では公費解体家屋を巡る電線窃盗の摘発が別地域でも報じられてきた。資材が集積する場所と時間が固定化されやすいことが背景にあり、買い取り市場との距離の近さも影を落とす。今回の手口も、その延長線上にあるとみられる。
鍵付きコンテナの活用、資材ごとの搬出記録、現場外の保管と立会い計量、そして金属買い取り業者との通報協定。こうした地道な手当てが抑止力になる。被災地の復旧を急ぐ現場ほど、人と物の流れが複雑だ。地域の目と事業者の管理ノウハウをどう束ねるかが問われている。
七尾の進み具合と現場のリアル
能登の公費解体は終盤戦に入っている。2025年10月2日の県の会見では、全体の完了は9割弱に達し、七尾市は申請等数に対する進捗が69%と説明された。作業の集中と資材の一時保管が避けにくい局面で、警戒の徹底が一段と重要になると映る。完了目標は維持されている。
現地では、工程の都合でケーブル類を束ねておき、週明けや次工程でまとめて搬出する場面が生じる。作業員の負担を軽くする段取りは不可欠だが、同時に管理と見守りの目も増やす必要がある。防犯と効率のせめぎ合いをどう解くか、現場の知恵が試されている。
今回の逮捕報道が事実であれば、復旧のスピードに合わせた治安対策の再点検が急務だ。自治体、警察、解体事業者の三者で巡回の時間割を見直し、夜間監視や照明、簡易センサーの投入を広げる。復旧の足を止めないための投資であり、同じ現場を二度と犯罪に使わせないための備えである。
