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中国江蘇省南京で2025年12月13日、日中戦争期の1937年に起きた南京大虐殺の犠牲者を悼む国家追悼式典が開かれた。式典では石泰峰・共産党中央組織部長が演説し、習近平国家主席は出席しなかった。高市早苗首相の台湾を巡る国会答弁を受け、日中の空気が硬くなる中での開催となった。
サイレン1分の「沈黙」を、街が実務で支える
会場は南京市の「侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館」で、午前10時に式典が始まった。南京市は12月6日付の通告で、10:01から10:02に防空警報を鳴らし、道路の車両は停止して鳴らし、歩行者もその場で黙とうするよう求めていた。
追悼は感情の表明にとどまらず、都市の行動として設計されている。報道によれば、会場では半旗が掲げられ、黙とうの時間には市内でも一斉にサイレンが鳴った。行き交う人や車を止める運用は、行政や警察、学校などの協力が前提になる。
式典自体は厳粛な儀礼として続く一方、周辺の緊張に目が向きやすい時期でもある。日本側もこの日程を「敏感な時期」と捉え、在留邦人に注意を呼びかけてきた。追悼が政治のメッセージとして受け取られる局面では、現場は安全と秩序の維持を同時に抱える。
習主席が姿を見せない式典で、誰が何を語るのか
今回の式典に習主席は出席せず、党の要職にある石泰峰氏が演説を担った。石氏は、軍国主義の復活を図る動きや、戦後の国際的な枠組みを揺さぶる試みは最終的に行き詰まるとの趣旨を述べ、日本を牽制する形となった。共同通信などが報じている。
一方で、出席者の顔ぶれは「どこまで重く扱うか」を映す。Reutersは式典を「低調」と表現し、所要時間が短かったとも伝えた。習主席が南京の追悼行事に出席したのは2017年で、今年は理由の説明が表に出ていないとされる。
現在の緊張の引き金の1つは台湾を巡る応酬だ。Reutersによれば、高市首相が中国による台湾攻撃の仮定に触れ、日本が軍事的に対応し得るとの趣旨を示したことに中国側が反発している。追悼式典は歴史認識の場であると同時に、いまの安全保障の対立が重なり合う舞台にもなっている。
