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官邸の会見室に緊張が走った。政府がインテリジェンス機能の司令塔となる「国家情報局」創設の検討に入った。与党間で合意された改革の絵姿を、行政の仕組みにどう落とし込むか。安全保障と民主統制の両立を問う新しい局面が始まったといえる。
司令塔づくりへ、政府が動き出した
2025年10月24日、永田町は静かなざわめきに包まれた。官邸では情報機能の在り方をめぐる質問が相次ぎ、木原稔官房長官は政府の情報活動を強化する方針をあらためて示したとされる。現時点で確認されている範囲では、関係閣僚と論点整理を急ぐ姿勢が前面に出たと映る。
想定される司令塔は、内閣情報調査室の格上げで生まれる「国家情報局」である。複数省庁に散らばる情報機能を束ね、収集から分析、政策への反映までを一気通貫で回す構図が描かれている。縦割りの壁を越え、危機時の意思決定を加速させる狙いが浮かぶ。
詳細な組織設計や権限配分はこれからだが、政府内の調整は早い段階で動き出しているとみられる。来年の通常国会で制度化を目指す流れに合わせ、法案準備や人員配置の検討も並行する公算が大きい。透明性と実効性のバランスが問われる局面である。
連立合意が示した設計図と論点
足場となるのは、2025年10月20日に自民党と日本維新の会が交わした連立政権合意である。合意は、内閣情報調査室と内閣情報官を格上げし「国家情報局」と「国家情報局長」を創設、国家安全保障局・局長と同格に位置付けると明記した。意思決定の軸足をそろえる狙いが見て取れる。
さらに、内閣情報会議を発展的に解消し、新たに「国家情報会議」を法で設けるとしている。独立した対外情報庁（仮称）は令和九年度末までの創設を掲げ、インテリジェンス・オフィサー養成機関も同時期に立ち上げる計画だ。人材と制度を一体で育てる青写真である。
合意はまた、スパイ防止関連法制の検討開始にも触れている。情報保全を強める一方で、監視権限の行使には厳格なルールと第三者の監督が欠かせない。国会関与の設計、通信の秘密や個人情報との調和、予算・人員の確保――残る論点は少なくない。詰めの作業が鍵となる。
