NEC、歩きながら顔・虹彩で本人確認へ 空港・決済で実証

NECが歩行中の顔・虹彩同時認証を開発 立ち止まり不要の次世代IDへ

※記事を視覚化したイメージであり、実際の事象とは異なります。

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NECが、歩きながら顔と虹彩を同時に確認できる新しい生体認証技術を発表した。空港の出入国管理や高額決済など、厳密な本人確認が求められる場面での利用を想定し、専用カードなしでも立ち止まらずに通過できるという。2026年度中に実証を進め、2027年度の実用化を見込むといい、この「歩くだけで本人確認が終わる」仕組みは、どこまで手間なく安全を両立できるのかという問いを突きつけている。

利用者の体験はどう変わるのか

現在の空港では、搭乗券やパスポートの提示、荷物検査といった複数のチェックが連続し、長い列ができがちだ。今回の技術では、カメラに向かって立ち止まる必要も、財布やスマートフォンを取り出す必要もなく、決められた通路を普段どおりに歩くだけで本人確認が完了する。顔と虹彩という異なる情報を組み合わせることで精度を高めつつ、利用者には従来以上に自然な動きだけを求める設計になっている。

想定されるのは空港だけではない。スタジアムの入場ゲートや、大規模オフィスの出入り口、混雑しやすい駅構内の決済ゾーンなど、人の流れを止めたくない場所全般への展開が視野に入る。従来の生体認証でも顔をカメラに向ける所作が必要だったが、歩行中の人物を屋内外でとらえられるよう最適化したことで、早歩き程度のスピードでも認証を成立させられるとしている。

一方で、利用者の装いは日々変化する。マスクやメガネ、帽子の着用に加え、天候や照明条件もばらつく。複数の生体情報を組み合わせる「マルチモーダル生体認証」は、どれか一つの情報が部分的に隠れていても、別の特徴で補える点が利点だとされる。ただ、本人確認のプロセスが見えにくくなるほど、なぜ認証できたのか、あるいはできなかったのかを利用者に丁寧に説明する工夫も求められる。

混雑とリスクを減らしたい事業者の思惑

これまで国境審査や高いセキュリティが必要な決済では、生体情報に加えてICカードやパスワードを組み合わせる二要素認証が主流だった。だが、カード忘れや紛失、暗証番号の失念は日常的に起きており、窓口での対応コストや待ち時間の増大を招いていたとNECは説明する。 手ぶらで認証できれば、こうしたトラブルを減らしつつ、セキュリティ水準を維持または向上させたいというのが施設側の本音だ。

NECはこれまでも顔認証や虹彩認証の分野で国際的な評価を積み上げてきた企業であり、空港や大型イベント会場などでの実績も多い。今回の技術は、その延長線上で開発された新しいプラットフォームと位置づけられる。事業者から見れば、人手に依存していたチェック業務の一部を自動化し、ピーク時の要員配置を見直すことで、人件費や教育コストを中長期的に抑えられる可能性もある。

もっとも、認証装置を設置するだけで混雑が解消するわけではない。利用者が自然に通れる動線づくりや、既存システムとの接続、万一認証に失敗した人への代替手段の整備など、運用面の設計が欠かせない。NECは2026年度中に実証実験を行い、2027年度の実用化を目指すとしており、その過程で空港や金融機関などと協働しながら、現場のオペレーションをどこまで変えられるかが問われることになる。

便利さの先にある監視とルールづくり

世界の主要空港では、顔認証ゲートの導入がすでに進んでおり、日本でも自動化ゲートは珍しくなくなった。今回のように虹彩情報まで組み合わせる方式は、より正確な識別ができる一方で、一人ひとりの身体情報を詳細に収集することを意味する。利用者から見れば、「なりすましを防げる安心感」と「どこまで自分のデータを預けるのか」という迷いが、これまで以上にはっきり意識される局面だ。

国内では個人情報保護法があり、顔画像などのデータの扱いには一定のルールが設けられているが、顔と虹彩という複数の特徴量を長期間保管することの是非は、まだ十分に議論されているとは言い難い。データをどの範囲で共有するのか、削除を求めたときにどれだけ確実に応じられるのか、といった運用面の透明性も、技術的な精度と同じくらい重要になる。

歩くだけで認証が終わる未来は、混雑した空港やレジ前でのストレスを確実に軽くしてくれそうだ。その一方で、その快適さを支える生体情報の扱いには、利用者が自ら選択できる余地と、事業者側の説明責任を組み込んだ仕組みが欠かせない。技術が先行しがちな分野だからこそ、利便性と監視の境界線をどこに引くのか、社会全体で静かに見極めていく段階に入っている。

参考・出典

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