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赤い城の外れでサイレンが重なり、検視官と鑑識が黒く焦げた車体の周りを歩く。2025年11月10日夜、ニューデリー中心部のレッドフォート近くで車両が爆発した。死傷者は複数にのぼり、数は報道で幅がある。治安当局は一帯の警備を引き上げ、原因の特定と背後関係の解明を急いでいる。現場は観光と通勤が交わる要所で、都市の鼓動が一瞬止まった。
走行中の車で起きた爆発
爆発は幹線道路の信号付近で起き、走行中の小型車が突如火球となった。現場はレッドフォートの最寄り駅ゲート近くで、帰宅時間帯に人と車が入り交じる場所だ。発生直後、消防と救急が到着し周辺を封鎖、負傷者が次々と搬送された。警察は周辺の交通記録と監視映像の解析を始め、車両の移動経路を時系列で追っている。
被害の規模は時間とともに更新され、11日朝時点で「少なくとも9人」とする地元報道がある一方、夜までに「10人超」と伝える記事もある。公的機関が確定値を出す前段階で数字が揺れるのは、大規模事故で救急搬送と身元確認が並行する際に起きやすい。現時点では、死者・負傷者の最終的な集計は当局の発表を待つ必要がある。
広がる捜査と都市の緊張
内務相アミト・シャーは11日、関係機関の幹部を自宅に集め、高度な警備会議を連続して開いた。本人は「すべての角度から捜査する」と述べ、国家捜査局NIA（テロなどを所管する連邦の専門機関）への付託を指示した。国家保安部隊NSGや科学捜査研究所のチームも合流し、破片の化学分析と爆圧の推定、着火源の特定を進めている。市内では警戒線が広がり、繁華街や交通結節点の警備が強化された。
捜査は二つの流れで動いている。ひとつは現場科学捜査で、車体の変形や破片の飛散パターンから装填物と作動方式を読む作業だ。もうひとつは人と物流の追跡で、車両の購入履歴や通行履歴、周辺のCCTV解析を突き合わせる。近郊の関連先で爆発物とみられる物質が押収されたとの報もあるが、法科学の鑑定が確定しない段階で断定は避けるのが妥当だ。初動の幅広い仮説設定が、後の見落としを防ぐ。
赤い城という象徴の重み
レッドフォートは、国家行事の舞台であり観光の要でもある。周辺は平時から検問やカメラが多く、毎年の式典期には警備レベルが一段と上がる。そうした「見える警備」と日常の移動が共存する空間で起きた爆発は、市民の心理に長く影を落としやすい。象徴的な場所での事件は、たとえ犯意や過失の線引きが未確定でも、都市の安心感を揺らす。捜査は結果だけでなく、過程の透明性も問われる。
今回の封鎖と警備強化は、観光や商業に短期的な負荷を与える一方、情報提供の窓口整理や再発防止の手順見直しを促す契機にもなる。現地当局が収集した映像と通報データは、将来の交通動線設計やリスク評価に生かされうる。事故・事件の別を含め、結論が出るまでの数日間は、公式な速報と更新履歴を丁寧に重ねることが、社会の納得を支える。
