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会見場でマイクを握ったNHKの稲葉延雄会長は、受信料の未払いが膨らむ現状に対し、静かな口調で「できることはすべてする」と語った。新たに立ち上げたのは、法的手続きとネット配信サービスを一体で管理する司令塔「受信料特別対策センター」。未払い世帯や事業所への督促を強めるとともに、スマートフォンなどでNHKの番組を視聴する人にも契約情報の登録を促し、受信料の「空白」を埋めようとしている。
未払い100万件増、司令塔が動き出す
NHKによると、受信料を1年以上支払っていない世帯や事業所は2020年度以降増加が続き、2024年度の未払い件数は約174万件と、この5年で約100万件増えた。長く払い続けている契約者からは「損をしているのでは」といった不公平感も指摘されており、公共放送への信頼維持のためにも、未収を放置できない状況が続いていた。
この流れを変える役割を担うのが「受信料特別対策センター」だ。弁護士と営業職員で構成し、全国の放送局と連携しながら、1年以上滞納する契約者を対象に裁判所を通じた支払い督促の民事手続きを進める。支払い督促は、裁判のような口頭弁論を経ずに金銭の支払いを求める制度で、応じない場合には差し押さえに進むこともあり、従来より一段踏み込んだ対応となる。
NHKは2025年10月から2026年3月までの半年で約1250件、昨年度の約10倍にあたる法的手続きに踏み切る計画を掲げ、2026年度には年間2000件超まで引き上げる目標を示す。度重なる受信料の値下げで収入が細るなか、ただ支出を削るのではなく、未収を減らして財源を安定させる狙いもにじむ。強い手段に踏み切る一方、対象を長期滞納者に絞ることで、通常の支払いに影響を与えないよう線引きも試みている。
ネット配信時代の「ただ乗り」対策とは
督促強化と並行して、NHKはネット視聴への対応も進める。2025年10月に始まったインターネットサービス「NHK ONE」は、ニュースや番組をスマホやパソコンで見られる仕組みだが、ここでも受信契約を結んでいない人が無料で利用し続ける「ただ乗り」への懸念があった。そこで、ウェブページやアプリの画面上に、受信契約の有無を確認し、契約情報の登録や連携を促す表示を出し始めた。
利用者がこうした案内に応じない場合、NHKはメッセージの表現を段階的に強めていく方針だ。最終段階では、スマートフォンの画面のおよそ3分の1を占める大きさで、閉じることのできないメッセージを表示する計画だという。それでも残りの画面ではニュースの閲覧や操作は可能とされ、視聴そのものを即座に遮断するのではなく、「見ながら考えてもらう」圧力のかけ方を選んだ形だ。
公共放送の財源を支える受信料は、放送を見る人が広く負担する仕組みとして制度化されてきたが、ネット配信が当たり前になり、テレビを持たずにスマホだけで番組を楽しむ人も増えている。強まる法的手続きと、画面上に固定されるメッセージという二つのアプローチは、放送と通信の境目が薄れるなかで、負担と恩恵のバランスをどこに置くのかという問いを、静かに突きつけているように見える。
