本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
ロシアが繰り返してきた「西側供与の武器が犯罪組織に大量流出している」との主張について、スイスのSmall Arms SurveyとウクライナのシンクタンクCENSSは10日、これを裏付ける証拠は見つからなかったとする共同報告書を公表した。ウクライナ当局による違法所持武器の押収は侵攻後に増えており、戦時下でいかに流通を監視しているのかが改めて問われている。
増える押収、武器管理の現場で何が起きているか
報告書によると、ロシアの全面侵攻前後3年を比べると、ウクライナ当局が押収した違法な銃火器は60%以上増えた。拳銃や自動小銃に加え、手榴弾やロケット弾などの押収件数も倍増している。研究チームは、戦闘で放棄された武器やロシア軍が秘匿した兵器庫が新たな供給源となる一方、治安当局が摘発能力を強めている実態を数字が映し出していると指摘する。
押収された武器の大半は旧ソ連製が占め、西側から供与された手榴弾や携行ロケット弾などが含まれる割合はごく一部にとどまるという。供与兵器は台帳や電子システムで管理され、前線部隊への配分や返却も定期的に監査されているとされる。一方で調査は、戦争が続く限り違法流通のリスクは高まり得るとして、捜査官の訓練や鑑定装置の整備などへの継続支援を各国に呼びかけた。
ロシアの宣伝と国際社会の検証、どこが食い違うのか
ロシア政府や親ロシア系メディアは、供与兵器の5分の1が犯罪組織やテロ組織に転売されていると主張し、国連安全保障理事会でも繰り返し問題提起してきた。これに対し欧米各国は、自衛のための正当な支援だとして反論し、兵器管理の厳格さを強調している。AFPなどが伝えた今回の調査結果は、このロシア側の主張を裏付ける具体的証拠が見当たらないとあらためて示した形だ。
24年にスイスのシンクタンクGI-TOCが欧州の闇市場を調べた際も、西側供与の武器が大量に流入している兆候は確認できなかったとPoliticoなどは報じた。スペインや北欧で噂された「ウクライナ経由の密輸ルート」も、警察当局の検証で裏付けを欠いたとされる。とはいえ膨大な武器が戦場を行き交う状況は今後も続き、停戦後の管理こそ本当の正念場になる。今回の報告は、支援国とウクライナがどこまで長期的な管理体制を維持できるかという、静かな試金石でもある。
