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北朝鮮の国営メディアは2025年12月29日、前日の12月28日に黄海上で長距離の「戦略巡航ミサイル」2発を発射し、約3時間飛行して海上の標的に命中したと伝えた。発射には金正恩総書記が立ち会ったとしている。周辺国にとっては、年末の警戒態勢をどう維持するかが現実の課題になる。
「巡航ミサイル」は探知と迎撃の手間が増える
朝鮮中央通信は、28日に朝鮮半島西側の海域で2発を発射し、飛行ののち標的に当てたとした。Reutersによれば、韓国軍は平壌近郊の順安付近からの発射を探知したという。弾道ミサイルのように高く上がって落ちてくる軌道ではないため、各国の監視側は「どこを、どの高さで通るか」を追い続ける作業が増える。
巡航ミサイルは地表に近い高度を飛ぶ運用が想定され、探知が遅れやすいと指摘される。国連安保理決議は主に弾道ミサイル技術を問題にしてきた経緯があり、APは巡航ミサイルの発射が弾道ミサイルほど直接には禁じられていない点も伝えている。法的な線引きがあっても、監視レーダーの当直や海空の警戒には同じように負担がかかる。
年末の示威と、次に残る焦点
国営メディアは今回の発射を、反撃能力の信頼性を確かめる試験だとして、金正恩総書記が成果に満足感を示したと報じた。Reutersは、北朝鮮が2026年初めに予定される朝鮮労働党大会を前に軍事・経済の動きを活発化させている流れの中に今回の発射を位置づける。年の区切りに合わせた「見せ方」も含め、周辺国は追加の動きを織り込んで備える必要がある。
一方で、韓国軍は北朝鮮の最近の軍備誇示を地域の平和への脅威だとして批判しているとReutersは伝える。APも、北朝鮮が兵器開発を続けている状況に触れた。論点は二つある。第一に、発射が続く場合の警戒コストを誰がどう負担するか。第二に、抑止を強める対応が緊張の連鎖を招かないかだ。年末年始に追加発射があるかどうかが、当面の焦点になる。
参考・出典
- North Korea's Kim Jong Un oversees cruise missile launches
- North Korea says it fired long-range cruise missiles in test of nuclear deterrence | AP News
- 北朝鮮 長距離戦略巡航ミサイル2発を黄海に向けて発射 金正恩総書記も立ち会う
- 北朝鮮、黄海上で長距離巡航ミサイルの発射訓練を実施 | TBS CROSS DIG with Bloomberg
- Security Council Condemns Use of Ballistic Missile Technology in Launch by Democratic People’s Republic of Korea, in Resolution 2087 (2013) | UN Meetings Coverage and Press Releases
