港と海が同時に標的　ロシア軍とウクライナ側の攻防激化

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2025.12.20

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ロシア軍は2025年12月19日夜、ウクライナ南部オデーサ州の港湾インフラを弾道ミサイルで攻撃し、州当局は7人が死亡、15人が負傷したと発表した。一方で同日、ウクライナ保安局はロシアの制裁逃れに使われる「影の船団」のタンカーを地中海で無人機が損傷させたと明らかにした。港と海路をめぐる攻防が、前線の外側にも広がっている。

港が叩かれると、地域の「稼ぎ口」が先に細る

オデーサ州軍行政府のキペル知事によると、攻撃で港の施設周辺にいたトラックが炎上し、死傷者が出た。空襲警報が続くなかで救助や現場対応も難しくなったという。港は軍事目標であると同時に、働く人の職場であり、輸送と雇用を支える生活基盤でもある。

黒海沿岸の港が不安定になると、輸出入の遅れだけでなく、輸送コストや保険料の上昇、迂回による配送の目詰まりが起きやすい。とりわけ冬場は、燃料や生活物資の流れが揺れるほど地域の負担が増す。軍事上の損害だけでは測れない「日常の毀損」が、じわりと積み上がる局面だ。

「影の船団」への遠距離攻撃、制裁の網をどう補うか

Reutersなどによると、ウクライナ保安局（SBU）の関係者は、オマーン船籍のタンカーQendilを地中海の国際水域で無人機が攻撃し、致命的な損傷を与えたと説明した。場所はウクライナから2000キロ以上離れ、黒海の外で影の船団を狙ったのは初めてだとされる。船は空荷で環境リスクは低いとの見立ても示された。

影の船団は、船籍や保険の見えにくさを利用してロシア産原油を運び、制裁をすり抜ける仕組みだ。EU理事会は12月18日、影の船団の追加41隻に制限措置を科し、指定は計600隻近くになったと公表している。規制で塞ぎきれない穴を、ウクライナは実力行使で埋めにいく構図だが、海上輸送の安全と緊張の連鎖をどう管理するかという別の難題も残る。

港が叩かれると、地域の「稼ぎ口」が先に細る

「影の船団」への遠距離攻撃、制裁の網をどう補うか

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